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蚊は何階まで飛んでくる? マンション高層階にいる蚊の侵入経路とは
ジメジメとした日本の夏には蚊はつきもの。寝苦しい夜に羽音で悩まされたり、何か所も刺されて不快な思いをした方もいるかもしれません。マンションの高層階には蚊がでないと聞いていたのに「いつの間にか刺されていた!」と驚いたことはありませんか?
蚊が飛べる高さはマンションの3階程度といわれますが、なぜそれより上の階でも蚊が出現するのでしょうか。
今回は、蚊の生態やマンション室内への侵入経路、そして蚊を寄せ付けない方法と、通年を通した注意点について解説します。
目次
1. 蚊が飛べる高さはどのくらい? 知っておきたい蚊の生態
2. 外からの持ち込み注意! 蚊の侵入経路
3. 蚊を寄せつけない対処法とは
蚊が飛べる高さはどのくらい? 知っておきたい蚊の生態
蚊が飛べる高さは一般的にはマンションのおよそ3階程度の高さといわれていますが、15mほどの高さを飛んでいるという報告もあります。よって、マンションの3〜5階より上の階では蚊の出現頻度はかなり少なくなるはずです。しかし、「蚊に刺され」はいつの間にか刺されて赤くなっていることに気付くもの。生活の中でうまく蚊を避けるために、まずは蚊の生態について知りましょう。
国内に生息する約110種類の蚊のうち、人間の血を吸う種は3割ほどで、なかでも住宅地でよく見られる種は「アカイエカ」「チカイエカ」「ヒトスジシマカ」です。
全ての蚊が人の血を吸うと思われがちですが、実は蚊の主食は花の蜜などの糖分で、吸血するのは産卵を控えた交尾後のメスだけです。
蚊のメスは生涯で5回ほど産卵するといわれ、1回に産む卵の数は数十〜200個ほどです。人間の血は蚊が卵を産むために必要なたんぱく質を豊富に含んでおり、人の血を吸うのは効率よく卵を産むための繁殖戦略といえます。
吸血したメスは水たまりなどに産卵し、水の中で卵から孵った幼虫がボウフラです。ボウフラは1週間ほどで蛹となり、その後2日ほどで羽化して成虫となります。
蚊には人や動物を感知するセンサーが備わっています。このセンサーでは10m以上離れた場所からでも近付くことが可能で、まず呼気に含まれる二酸化炭素(CO2)を感じとります。CO2を頼りに近付いた後、匂いを頼りにさらに近付き、至近距離に近付いてから熱や水分を認識して針を刺すのです。
このように、蚊の中でも人間社会に適応した種類は、人や動物を感知し吸血する能力を進化させて、効率よく子孫を残しているといえます。
外からの持ち込み注意! 蚊の侵入経路
高く飛べないはずの蚊がマンションの高層階にいることがあるのはなぜでしょうか。これは人間が吐き出すCO2に引き寄せられ、一緒にエレベーターに乗り込んで侵入したものと考えられます。締め切った室内に蚊がいる場合は、玄関や窓から人と一緒に入り込んだものでしょう。ほかにも、外に干していた洗濯物や買ってきた植物、宅配の荷物など、外から持ち込まれた物にくっついて侵入することも考えられます。
また、マンションの立地や敷地内の環境が蚊の発生しやすい条件が揃っていると、蚊が侵入してくるリスクは高まります。
緑や水辺など自然に囲まれた住居はメリットが多く好ましい環境ですが、水辺に近いマンションは蚊にとっても好ましい環境です。また、マンション敷地内のゴミ置き場や駐輪場、植え込み、排水施設周辺などは、蚊の産卵に適した日が当たりにくく雨水が残りやすい場所です。
これらはマンション共用部のため、水たまりをなくしたり、春先に殺虫剤や消毒を散布するなど、管理組合が対策を行うとよいでしょう。
蚊を寄せつけない対処法とは
蚊をマンションの室内に入れないための対策として、エレベーターの乗り降りや玄関に出入りする際に持ち込まないようにすることや、「発生源をなくす」「蚊が嫌がる匂いを利用する」「蚊が好む匂いを消す」などがあげられます。
【発生源をなくす】
蚊は水面を探して卵を産むので、少しの水たまりでも蚊の発生源となってしまいます。放置された空き缶や容器、ベランダに置いたバケツなどに水がたまっていないか、プランターの受け皿に水が残っていないか確認してみましょう。
雨水を利用する目的で容器に水をためている場合は、容器にフタをすることをお勧めします。水生植物を育てている鉢の水は、こまめにかえましょう。
また、雨や日差しをよけるために覆ったシートがたるんでいると、雨水がたまってしまう可能性があります。
【蚊が嫌がる匂いを利用する】
蚊は匂いを感知するので、蚊が嫌がるハーブ特有の香りを使用すると殺虫成分を使わずに蚊を遠ざけることができます。
特に虫除け効果が期待できるといわれている成分は「シトロネラール」「シトラール」「メントール」などで、これらの成分を含む虫除けスプレーをこまめに使うと効果的です。
また、マンションのベランダで蚊が嫌がる成分を含むハーブを育ててみるのはいかがでしょうか。窓からの蚊の侵入を防ぐ効果があるハーブは以下の種類です。
・レモンユーカリ
・レモングラス
・ラベンダー
・タイム
・カレンソウ(ローズゼラニウムとレモングラスの交配種)
・ハッカ
・バジル
・ローズマリー
蚊が嫌う香りでも人にとっては癒しの効果があります。ハーブは多年草が多いので何種類かのハーブを寄せ植えにすれば、それぞれの花を楽しんだり、料理に利用したりと一石二鳥でお勧めです。
【蚊が好む匂いを消す】
蚊は匂いで人間を感知し、吸血します。蚊は、多くの物質によって作られる香りに反応しており、足にすむ菌の種類が多いほど蚊に刺されやすいという研究もあり、足を洗浄して菌を減らすことで蚊に刺される回数が減ったという実験結果も出ています。
蚊は「代謝が良い・体温が高い・肌の水分が多い」などの条件を好むため、足を小まめに除菌するとよいでしょう。
蚊を身の回りから完全に排除することは簡単ではありません。蚊の生態に合わせた対処をマンション全体で行い、蚊を室内に連れて入るリスクを減らして、快適なマンションライフを過ごしましょう。
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■この記事のライター
吉田 秀樹
建装工業株式会社 MR業務推進部 統括部長
愛知県出身 職能能力開発総合大学校(当時:相模原市)卒業
マンション管理士・一級建築施工管理技士・マンション維持修繕技術者を有し、大規模修繕工事の営業に従事した経験者
※建装工業株式会社公式HPはこちら
(2024年3月4日新規掲載)
*本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。