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マンション大規模修繕、施工会社はどう選ぶ?
1. 大規模修繕工事の施工会社を選ぶ基準は?
10年から15年に1度が良いとされるマンション大規模修繕工事は、マンションの住宅性能や資産価値を維持する上で不可欠ですが、施工にかかる費用も非常に大きな額となります。分譲マンションの場合は、住民の大切な資産を守るためにも入居者全員が納得のできる工事にしたいものです。そのためには、信頼できる施工会社に施工を依頼する必要があります。
では、施工会社を選ぶ時は何を基準にすれば良いのでしょうか。もちろん費用は気になるところですが、最も大切なのは工事のクオリティです。品質の高い工事を行える施工会社を選ぶための手順と、見きわめのポイントを解説します。
では、施工会社を選ぶ時は何を基準にすれば良いのでしょうか。もちろん費用は気になるところですが、最も大切なのは工事のクオリティです。品質の高い工事を行える施工会社を選ぶための手順と、見きわめのポイントを解説します。
2. 大規模修繕の施工会社を選定する際の流れ
マンション大規模修繕工事は、管理組合が施主となって行うものですが、その施工会社を選定するのは、管理組合内に設立される理事会の仕事です。とはいえ、理事会は住民の代表であり、通常は建築の専門家ではありません。
必要に応じて専門家の力を借りながら施工会社を選びましょう。建築業界に携わっている理事の方がいる場合でも、新築工事と改修工事では勝手の異なる部分も多くあります。
特にマンションの大規模修繕工事は、居住者が住んでいる中で工事を行う点や、実際に足場を組んで見なければ施工数量が決まらない部分がある点、工事の進捗や生活への影響について、タイムリーに広く居住者に広報しなければならない点などで、新築工事とは大きく異なる部分があります。マンションの大規模修繕工事に精通した専門家の力を借りながら、施工会社選定を行う管理組合が多いのが現状です。
選定の流れは大まかに説明すると次のようになります。
1)マンション建物の劣化診断を受ける・工事内容を決定する
まずは、劣化診断を経て、修繕工事をすべき部分はどこなのかを明らかにし、「修繕設計」を行うことが必要です。一級建築士事務所や民間の診断会社、NPO法人など、マンション建物の工法や材料・技術、劣化現象とその修繕方法に詳しい会社に調査や設計を依頼します。診断から修繕設計まで行える会社に依頼するとスムーズです。透明性をより高めるという目的で、調査と設計を別の会社に依頼する場合もあります。
また、共用部の水溜りや破損など、かねてから工事をした方がいいのではないか、と思っていた部分があれば、大規模修繕工事の内容に含めて合わせて実施できるよう、設計を依頼した会社に要望しておくと良いでしょう。単体で工事を行うよりも、大規模修繕工事と合わせて実施した方が、安く施工できる場合があるからです。
2)複数の施工会社から見積を取り寄せる
インターネットなどで大規模修繕を成功させたマンション管理組合の事例を収集し、評判の良い施工会社をいくつか選び、1)の劣化診断を基に見積を依頼します。1社だけではなく、必ず複数の会社から見積を取りましょう。その際は比較検討がしやすいように、同じ修繕範囲、項目、見積書式で見積を依頼するのが一般的です。業界新聞などに公募を出し、見積を是非やりたいという会社を集める方法もあります。
これらをマンションの管理会社やコンサルタント会社に依頼することも多いですが、自分の目で細部まで確かめたい場合には、管理組合内に設立された修繕委員会などが、これらを主体的に行うこととなります。
3)候補となる施工会社の話を聞く、実績を確認する
提出された見積を基にして、候補となる施工会社に個別のヒアリングを行います。不明な点があれば質問し、納得いくまで説明してもらいましょう。工事そのものに加え、工事が生活に及ぼす影響や、電気・水道の使用、工事用資材の保管場所などについても確認が必要です。また、実際に各社の施工実績を見てみることも大切です。特に工事中の生活への配慮などのソフト的な面での対応については、マンション大規模修繕工事の経験が多い会社とそうでない会社で差が出る部分でもあります。
4)総会の決議で依頼する施工会社を決める
3)で得た判断材料を基に施工会社を絞り込んだら、総会で全区分所有者から承認を得て、依頼する施工会社を決定します。理事会はどのような理由と選定基準で施工会社を選んだのか、区分所有者に説明しなければなりませんので、納得してもらえるように十分な資料や写真を用意しましょう。
必要に応じて専門家の力を借りながら施工会社を選びましょう。建築業界に携わっている理事の方がいる場合でも、新築工事と改修工事では勝手の異なる部分も多くあります。
特にマンションの大規模修繕工事は、居住者が住んでいる中で工事を行う点や、実際に足場を組んで見なければ施工数量が決まらない部分がある点、工事の進捗や生活への影響について、タイムリーに広く居住者に広報しなければならない点などで、新築工事とは大きく異なる部分があります。マンションの大規模修繕工事に精通した専門家の力を借りながら、施工会社選定を行う管理組合が多いのが現状です。
選定の流れは大まかに説明すると次のようになります。
1)マンション建物の劣化診断を受ける・工事内容を決定する
まずは、劣化診断を経て、修繕工事をすべき部分はどこなのかを明らかにし、「修繕設計」を行うことが必要です。一級建築士事務所や民間の診断会社、NPO法人など、マンション建物の工法や材料・技術、劣化現象とその修繕方法に詳しい会社に調査や設計を依頼します。診断から修繕設計まで行える会社に依頼するとスムーズです。透明性をより高めるという目的で、調査と設計を別の会社に依頼する場合もあります。
また、共用部の水溜りや破損など、かねてから工事をした方がいいのではないか、と思っていた部分があれば、大規模修繕工事の内容に含めて合わせて実施できるよう、設計を依頼した会社に要望しておくと良いでしょう。単体で工事を行うよりも、大規模修繕工事と合わせて実施した方が、安く施工できる場合があるからです。
2)複数の施工会社から見積を取り寄せる
インターネットなどで大規模修繕を成功させたマンション管理組合の事例を収集し、評判の良い施工会社をいくつか選び、1)の劣化診断を基に見積を依頼します。1社だけではなく、必ず複数の会社から見積を取りましょう。その際は比較検討がしやすいように、同じ修繕範囲、項目、見積書式で見積を依頼するのが一般的です。業界新聞などに公募を出し、見積を是非やりたいという会社を集める方法もあります。
これらをマンションの管理会社やコンサルタント会社に依頼することも多いですが、自分の目で細部まで確かめたい場合には、管理組合内に設立された修繕委員会などが、これらを主体的に行うこととなります。
3)候補となる施工会社の話を聞く、実績を確認する
提出された見積を基にして、候補となる施工会社に個別のヒアリングを行います。不明な点があれば質問し、納得いくまで説明してもらいましょう。工事そのものに加え、工事が生活に及ぼす影響や、電気・水道の使用、工事用資材の保管場所などについても確認が必要です。また、実際に各社の施工実績を見てみることも大切です。特に工事中の生活への配慮などのソフト的な面での対応については、マンション大規模修繕工事の経験が多い会社とそうでない会社で差が出る部分でもあります。
4)総会の決議で依頼する施工会社を決める
3)で得た判断材料を基に施工会社を絞り込んだら、総会で全区分所有者から承認を得て、依頼する施工会社を決定します。理事会はどのような理由と選定基準で施工会社を選んだのか、区分所有者に説明しなければなりませんので、納得してもらえるように十分な資料や写真を用意しましょう。
3. 信頼できる施工会社は、どうやって見きわめるのか
以上が大規模修繕を依頼する施工会社を選ぶ時の大まかな流れですが、信頼して施工を任せられる施工会社を選ぶには、何に注意すればよいのでしょうか。
具体的に言うと、施工会社を絞り込むのは各社の見積が上がってきた後ですが、どのような施工会社に見積を依頼するかということも重要なポイントになります。信頼できる施工会社を見きわめるには、次のようなことに注意しましょう。
・見積は、マンションの建設を担当した会社や管理会社の系列会社、第三者的な独立系会社など、様々な立場にある複数の会社に依頼しましょう。
・納得できる理由があれば別ですが、見積金額が極端に低い会社、また極端に高い会社は避けるのが無難です。
・各会社の仕事の質を確かめるには、実際に工事中の現場や施工済のマンションを見学に行くことが有効です。その場合は、素人では気がつかない部分もチェックできるよう、建築士や施工管理技士などの専門家に同行してもらいます。また、各会社が施工したマンションの管理組合に話を聞くのもよいでしょう。工事中の居住者の生活に対して、どのような取り組みを行っていたのか、工事中の広報は分かりやすかったかなど、実際に感じた内容を聞くことがきでます。
・最終的には、見積金額だけで選ぶ「入札方式」ではなく、各施工会社による説明内容、これまでの実績、経営状況なども含め、総合的に判断する「見積合わせ方式」による選定をおすすめします。工事終了後には、部位ごとの保証年数に応じたアフターメンテナンスの実施も控えている場合が多いので、施工会社とは、大規模修繕工事が終わった後も長期にわたりやり取りが発生してくるからです。
多額の費用がかかる大規模修繕工事ですが、その施工会社選びでは金額以外にどのようなメリットや特徴があるのか、よく確かめることが大切です。また、住民に対する説得のためにも、そのメリットや特徴は、文書や写真など具体的かつ客観的な資料にして残していきましょう。
品質の高い工事を行うことは、マンション建物の性能の回復・維持・向上はもちろんのこと、その後の修繕計画にもかかわってきます。納得できる工事をするために、信頼のおける施工会社を選ぶヒントとしてお役立てください。
具体的に言うと、施工会社を絞り込むのは各社の見積が上がってきた後ですが、どのような施工会社に見積を依頼するかということも重要なポイントになります。信頼できる施工会社を見きわめるには、次のようなことに注意しましょう。
・見積は、マンションの建設を担当した会社や管理会社の系列会社、第三者的な独立系会社など、様々な立場にある複数の会社に依頼しましょう。
・納得できる理由があれば別ですが、見積金額が極端に低い会社、また極端に高い会社は避けるのが無難です。
・各会社の仕事の質を確かめるには、実際に工事中の現場や施工済のマンションを見学に行くことが有効です。その場合は、素人では気がつかない部分もチェックできるよう、建築士や施工管理技士などの専門家に同行してもらいます。また、各会社が施工したマンションの管理組合に話を聞くのもよいでしょう。工事中の居住者の生活に対して、どのような取り組みを行っていたのか、工事中の広報は分かりやすかったかなど、実際に感じた内容を聞くことがきでます。
・最終的には、見積金額だけで選ぶ「入札方式」ではなく、各施工会社による説明内容、これまでの実績、経営状況なども含め、総合的に判断する「見積合わせ方式」による選定をおすすめします。工事終了後には、部位ごとの保証年数に応じたアフターメンテナンスの実施も控えている場合が多いので、施工会社とは、大規模修繕工事が終わった後も長期にわたりやり取りが発生してくるからです。
多額の費用がかかる大規模修繕工事ですが、その施工会社選びでは金額以外にどのようなメリットや特徴があるのか、よく確かめることが大切です。また、住民に対する説得のためにも、そのメリットや特徴は、文書や写真など具体的かつ客観的な資料にして残していきましょう。
品質の高い工事を行うことは、マンション建物の性能の回復・維持・向上はもちろんのこと、その後の修繕計画にもかかわってきます。納得できる工事をするために、信頼のおける施工会社を選ぶヒントとしてお役立てください。
《この記事のライター》
大塚 麻里絵
埼玉県出身 東京理科大学理工学部建築学科卒業
一級建築施工管理技士を有し、大規模修繕工事現場にも従事した経験のある女性技術者・ライター
(2019年11月1日記事更新)
★詳しくはこちらをご参照ください。
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