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タワーマンションと低層マンションはどちらがいい? それぞれのメリット・デメリットは?
展望の良さや豪華な設備が整ったタワーマンションは相変わらず高い人気を誇ります。しかし、対極ともいえる低層マンションも安定した人気を獲得しているのをご存知でしょうか?本記事では、タワーマンションと低層マンションの定義や、それぞれのメリット・デメリットなどを詳しく紹介していきます。
目次
1. タワーマンションと低層マンションの定義
2. タワーマンションのメリット・デメリット
3. 低層マンションのメリット・デメリット
4. まとめ
タワーマンションと低層マンションの定義
・タワーマンションの定義
一般的には20階以上の高さ60mを超える超高層マンションを指しますが、明確な定義があるわけではありません。
また、建築基準法と消防法とでは、超高層マンションとして想定されている階数や高さが異なります。
建築基準法上では、タワーマンションなどの超高層建築物は、建物の構造上の安全性や避難安全性能などについて国土交通大臣の認定を受けなければなりません。消防庁による「緊急離着陸場等設置指導基準」では、高さ100m(30〜33階程度)以上のマンションには、ヘリコプターの「緊急離着陸場」を設置する必要があります。また、高さ31m超100m未満のマンションには緊急離着陸場、もしくは緊急救助用スペースの設置が求められます。
・低層マンションの定義
一般的に2〜5階建て程度のマンションを指します。容積率(敷地面積に対する各階床面積の合計の割合)の上限の低い地域(閑静な住宅街など)に建てられることが多いマンションです。
例えば、都市計画法で定められた用途地域の一種である第一種・第二種低層住居専用地域などに建てられるケースなどがあります。これらの用途地域では、高さの上限は10または12メートルとなっています。
一般的に中層マンションは約6〜10階建て、高層マンションは31m超で約10〜20階建てを指します。
タワーマンションのメリット・デメリット
●メリット
・駅や商業施設に近く、利便性が高い
タワーマンションの多くは駅や商業施設に近く、街の中心エリアに建てられていることが多いため、利便性の高さがメリットです。
駅直結型のマンションでは雨に濡れずに通勤・通学ができますし、スーパーやクリニック、保育施設が併設しているマンションでしたら、小さなお子さんがいるご家庭にとっては施設までの移動時間の短縮が大きな利点となるのではないでしょうか。特に住戸数の多い大型タワーマンションでは、こうした住居以外の施設を備えていることも多くあります。
・眺望が良い
高層階は眺望が良く、部屋から美しい街並みや夜景を楽しむことができます。また、近くに高い建物がなければ人目を気にすることもないので、プライバシーが守られやすくなります。
・万全なセキュリティと共用施設の充実
特に商業施設を併設したタワーマンションでは、住居エリアとその他エリアを明確に分けており、オートロックや防犯カメラなどのセキュリティが厳重で安心感があります。コンシェルジュや常駐警備員を配置しているマンションもあります。
共用施設の面では、規模の大きなタワーマンションでは、キッズスペースやゲストルーム、ジム、プール、広々としたエントランス、眺望を生かしたスカイラウンジやパーティールームなど、共用施設が充実しているマンションも増加の傾向にあります。
・高層階は虫が侵入しにくい
高層階は蚊やハエなどの生育域ではないため、虫が侵入しにくいのもメリットです。
●デメリット
・エレベーターの設置数によっては待ち時間が発生する
エレベーターの設置数が少ない場合は、特に朝のお出かけの時間などに利用者が集中し、待ち時間が長くなる可能性があるでしょう。
・強烈な日差し
南向きは日当たりが良好で一般的な住宅では物件のおすすめポイントになりますが、周りに高い建物がない高層階の部屋ですと、日当たりが良すぎることがデメリットになる場合もあります。日射しを遮るものがないので冬場は暖かく過ごせますが、夏場は強い直射日光がそのまま入るため、昼間からカーテンを引かなければならないケースもあります。
・風が強い
高層階は風が強く、安全上窓を開けられない物件もあります。管理規約によってベランダには洗濯物を干すことが禁止されている場合がほとんどです。強風によって飛んでしまうと、電車の架線などに引っかかり、大きな事故につながりかねないからです。
・地震の際に大きく揺れる・災害時に避難しにくい場合も
これは建物に採用されている構造にもよりますが、制振構造や免震構造を採用していない場合は、高層階ほど建物の揺れが大きくなります。必然的に、タワーマンションでは上層階に行くほど建物が大きく揺れることになります。タワーマンションでは制振構造や免震構造が採用されていることもあります。制振構造は揺れを低減する構造ですので、こうした心配が少なくなります。一方、免振構造は地震の揺れを受け流すような構造になっています。具体的には、地面の揺れの周期と建物の揺れの周期をずらすことで、地震の衝撃を直接的に受けないようになっています。建物の揺れは低減できますが、地面とは異なる揺れ方をするので、地面の揺れが収まった後も建物の揺れが長く続いてしまうことがあります。
また、緊急時に地上への避難がしにくいという難点もあります。もし、非常用エレベーターも含めて全てのエレベーターが停止してしまった場合には、避難階段などの経路を通って地上まで降りることになります。日常的にはエレベーターの利用が中心であるため、普段から避難訓練などの内容を頭に入れておかなければ、スムーズに避難することができません。
・管理費が高い
エレベーターなどの共用部分やコンシェルジュなど、サービスが充実しているマンションでは、そのぶん管理費が高額になる傾向があります。
低層マンションのメリット・デメリット
●メリット
・閑静で落ち着いた場所にある
閑静な住宅街に建てられていることが多く、落ち着いて過ごすことが可能です。用途地域にもよりますが、駅前や都心の湾岸エリアでなければ、将来的に大きな商業施設や工場が立てられる可能性が低いケースが多いので、そうした環境が比較的長く続きます。
・車を利用する際に便利
昔からある団地などの場合、平置きの駐車場を住戸数分確保している場合があり、駐車場探しに困ることは少ないでしょう。また、平置き駐車場は機械式駐車場のような待ち時間が少なく、使いたいときにすぐに車が利用できるのもメリットです。機械式駐車場の維持費がかからないのも利点といえます。
・緊急時でも避難しやすい
地上への距離が近いため、災害が発生した際に、階段やベランダの避難ハッチ・避難はしごなどを使用して早く地上に降りられるのもメリットです。
・火災の際にはしご車が届く
はしご車が届く高さは概ね30mで、一般的な建物のおよそ10階に相当します。
都市部では40m級の特殊なはしご車もありますが、一般的なはしご車が届く低層マンションであれば、万が一の災害の際、自力で避難できない場合でも救助してもらえる可能性が高くなります。
●デメリット
・駅から遠い場合が多い
閑静な住宅街に建てられているため、駅からは遠いケースが多々あります。大規模団地などの場合には、路線バスのルートに含まれていることも多いので、バスの本数や料金をチェックしておくと良いでしょう。
・共用設備やサービスが充実していない
共用設備を充実させるというニーズは比較的新しいものなので、それ以前に建てられたマンションでは、タワーマンションほど共用施設やサービスが充実してない場合があります。居住者が一般的に利用できる共用施設は、集会室と付属のトイレ、ゴミ置き場などの基本的なもののみという場合も多いです。
・通行人の視線や生活音が聞こえやすい
建物が低いため、1階部分にも多くの住戸が配置されます。道沿いに部屋がある場合、通行人の視線や声、生活音が聞こえることもありますので、対応策が必要です。
まとめ
利便性が高く、万全なセキュリティと充実した共用施設を求めるならタワーマンション、閑静で落ち着いた環境を希望するなら低層マンションがおすすめです。また、終の棲家としてお考えであれば、歳を重ねてからも住み良いマンションかどうか、という観点も加えた方が良いでしょう。
実際に住んでみてから気づくこともあるため、希望するタイプのマンションへの居住を考えているなら、家族構成が似ている知人にメリット・デメリットを教えてもらってから検討するのも一つの方法です。
これらを参考に、ご自身とそのライフステージに合った住まいを探してみてください。
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■この記事のライター
大塚 麻里絵
建装工業株式会社 MR業務推進部所属
埼玉県出身 東京理科大学理工学部建築学科卒業
一級建築士・一級建築施工管理技士を有し、大規模修繕工事現場にも従事した経験のある女性技術者・ライター
※建装工業株式会社公式HPはこちら
(2022年11月7日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。