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コンクリート壁にいる赤い小さい虫の正体! タカラダニの駆除・予防対策
マンションのベランダや駐車場のコンクリート部分で小さな赤い虫を見かけたことはありませんか?
これは「タカラダニ」と呼ばれ、5月上旬から7月までの短い期間のみ発生することが確認されている虫です。
真っ赤なその姿から、「赤いから血を吸うのでは?」「大量の赤い虫が出てきたけど大丈夫なのか」など、不安を持つ方が多いようです。
今回はこのタカラダニについてご紹介します。
1. タカラダニの生態を知る
ダニにも様々な種類が存在しています。有名なものとしては、肉眼でも見えるほど大きく、人体を吸血することもある「マダニ」や、布団やカーペットなど家の中に生息して、死骸やフンがハウスダストの原因物質となる「ヒョウヒダニ」など。ここでは「タカラダニ」について知ることで、必要以上に怖がらず正しく対処しましょう。
●タカラダニの生態について
5月頃になると大量に発生する小さくて赤い体のタカラダニは、詳しい生態は解明されていませんが、花粉を食べているであろうことがわかってきています。コンクリートに付着した花粉などを食べるため、駐車場やマンションの外壁、ベランダなどに大量発生すると考えられています。
タカラダニという名前ですが、一説にはセミに赤いダニがくっついた姿が「宝物を抱えているように見える」「お金持ちになれる」といわれたことが由来とされています。現代においては不快害虫として忌み嫌われている存在なので、宝物という表現には少々違和感があるかもしれません。
●健康被害について
タカラダニは基本的に人体を刺して吸血をする行為はせず、感染症を媒介するような事例も確認されていないため、他のダニに比べると健康面へのリスクは低いといえます。考えられる健康被害としては、素手で潰してしまった場合、人によってはタカラダニの体液と触れたことで肌荒れや発疹などのアレルギー反応が出る可能性があります。また、タカラダニ特有の事象ではありませんが、ダニのフンや小さな死骸はハウスダストの中に含まれていることがあるので、それを吸い込んだ時に、くしゃみや鼻水などのアレルギー反応を起こすことがあります。
健康被害という点では、似たような見た目のマダニやツツガムシのほうが被害は大きく、最悪の場合、死に至るような感染症を引き起こす可能性もあります。
見た目 | 主な活動時期 | 主な活動場所 | 注意すべき健康被害 | |
タカラダニ | 赤色 全長1〜2.7mm |
5月〜7月頃 | コンクリート付近 | アレルギー ハウスダスト※ |
マダニ | 赤褐色 全長 通常時3〜4mm 吸血時10mm以上 |
3〜11月頃 種類により冬にも活動 | 野生動物がいるところ全般 公園での発見例もあり注意が必要 |
日本紅斑熱 ライム病 重症熱性血小板減少症候群(SFTS) ハウスダスト※ |
ツツガムシ (アカツツガムシ) |
赤色 全長1mm前後 |
春および秋 | 野山 河川 |
ツツガムシ病 ハウスダスト※ |
※タカラダニに限らない
2. タカラダニの正しい駆除方法
タカラダニを見かけた場合、絶対にやってはいけないのは「潰す」ことです。
タカラダニを潰すと赤い体液が飛び出すため、衣服や壁などが汚れてしまいます。素手で潰してしまった場合、人によってはタカラダニの体液と触れたことで肌荒れや発疹などのアレルギー反応が出る可能性があるので注意が必要です。
●屋外でおすすめの駆除方法
タカラダニは体が小さく、大量発生することが多いので、屋外であれば水で流してしまう方法がおすすめです。もちろん殺虫剤で少しずつ処理することもできますが、タカラダニは数が多いので経済的には少々もったいないかもしれません。また、風が強い日などは使用者や周囲の人に薬剤が向かってしまう恐れがありますので、水が使える場所であれば水で流してしまうことがおすすめです。
水で流した場合は時間が経つと再発する可能性があるため、必要に応じて忌避(きひ)剤などの使用を検討してもよいでしょう。
●屋内でおすすめの駆除方法
屋内での主な駆除方法は殺虫剤、もしくは紙パック式の掃除機や粘着テープを使用する方法です。小さなお子さまや動物がいるので室内で殺虫剤を使うことに抵抗がある、という方もいらっしゃることでしょう。そのような方には掃除機や粘着テープを使って潰さずに駆除する方法がおすすめです。タカラダニを吸い込んだ紙パックはポリ袋などで密閉して処分しましょう。殺虫剤を袋の中にスプレーする場合は、スプレーの勢いでタカラダニが飛び散らないよう注意しましょう。
屋内では布団・ソファ・畳など、赤い体液がついてしまうと落としづらい場所がいくつもあります。潰さないことを意識して駆除しましょう。
3. タカラダニの発生を予防する方法
ここまではタカラダニが発生した場合の対処法を解説してきましたが、最後に発生させないための予防法を解説します。
●タカラダニのエサになるものを除去する
タカラダニに限らず害虫を発生させないための基本は、エサとなるものを除去することです。タカラダニの生態はまだわかっていないことも多いのですが、花粉をエサとしていることは知られています。コンクリートの外壁や駐車場などに付着している花粉を水で洗い流すことで、予防効果が期待できるでしょう。
●殺虫剤を撒いておく
水による対処は、即効性こそあるものの持続性は期待できません。毎日のように水をまくことが困難な場合には、忌避(きひ)剤としての効果を持つ殺虫剤の使用を検討しましょう。製品によって期待できる効果が異なりますので、対象害虫と効果の持続期間を確認してから使用しましょう。
●コンクリート面などの塗装・防水
タカラダニのエサとなる花粉は、コンクリートなどの表面にあいた穴に堆積していきます。塗装・防水を施すことでこの穴を無くし、水を撒いた際にも花粉やタカラダニが穴に溜まらずに流れるため、効率よく駆除と予防をすることが可能です。お住まいのマンションでタカラダニの大量発生にお困りであれば、特にコンクリートが露出している部分などを、大規模修繕工事で塗装・防水することも検討する価値があるでしょう。
健康へのリスクが低いとはいえ、大量発生したタカラダニを見るのは気持ちの良いものではありません。発生のピークを終えていても「そういえば小さな赤い虫をたくさん見かけたな」という方は、翌年のためにも水や殺虫剤などで早めの対処を実施し、快適なマンションライフを手に入れましょう。
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■この記事のライター
大塚 麻里絵
建装工業株式会社 MR業務推進部所属
埼玉県出身 東京理科大学理工学部建築学科卒業
一級建築士・一級建築施工管理技士を有し、大規模修繕工事現場にも従事した経験のある女性技術者・ライター
※建装工業株式会社公式HPはこちら
(2023年4月24日新規掲載)
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