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大量発生するカメムシ。 刺激は厳禁! マンションにおけるカメムシ対策〜駆除と予防〜(改定版)
(この記事は2021年9月に掲載した記事を更新したものです。)
刺激により悪臭を放つカメムシは駆除するのもやっかいな害虫です。ガーデニングに被害を及ぼしたり、洗濯物などに潜んで部屋の中に侵入したりすることがあるため、家の周辺でカメムシを見たら要注意です。今回はカメムシの生態や警報・注意報、臭い対策、そして実際の駆除方法や予防策などをご紹介します。
■目次
1. マンションで大量発生するカメムシは? カメムシの生態を知る
2. カメムシ注意報、カメムシ警報って何? 果物や米への影響を減らすための予測
3. カメムシの臭いを何とかしたい! ついてしまった臭いの対策方法とは
4. カメムシをできるだけ安全に駆除する方法
5. カメムシを部屋に入れないための予防策
1. マンションで大量発生するカメムシは? カメムシの生態を知る
まずはカメムシの生態について知っておきましょう。実は、カメムシの種類は、日本国内だけでも1400種以上と非常に多いのです。その中で、よく問題となる種類には主に下記の7種があります。
クサギカメムシ:体長約15mm。暗褐色に不規則な小斑点がある。日本全国に分布しているが、特に関東以北で発生することが多い。
スコットカメムシ:体長約10mm。光沢のある茶褐色。寒冷地域、主に山地でよく見られ、やや涼しい環境を好む。
マルカメムシ:体長約5mm。丸い形状でマメ科の植物を好む。河川敷や空き地に多い。
ツヤアオカメムシ:体長約15mm。体は鮮やかな緑色でつやがある。光を好み、夜間の光に引き寄せられる。
チャバネアオカメムシ:体長約10mm。越冬する個体数が増加傾向にある種で、光沢のある黄緑色の体と茶色の羽を持っている。
クモヘリカメムシ:体長約15mm。全体的に細長く、緑色の体に茶色の羽を持つ。イネ科の植物を好む水稲(米)の害虫。宮城県南部が生息域の北限とされていたが、近年は分布が拡大している。
イネカメムシ:体長約12mm。イネ科の中でも特に水稲を好む茶褐色の種。1960年代以降に減少したが、再び増加の傾向が見られる。
このうち、住宅地でよく見られるのがクサギカメムシとスコットカメムシです。いずれも大きさは15mm以下と小さなことから、マンションでも換気扇や網戸など2mmほどのすき間があれば簡単に室内に侵入してしまいます。クサギカメムシは年間を通して住宅地の周辺を飛んでいますが、基本的に寒さに弱く、越冬した個体が4月ごろから活動し、5月から8月にかけ産卵・孵化し、9月から10月に越冬準備のため活動のピークを迎えます。そのため、秋から冬にかけて成虫を見かけることが多いです。
☆カメムシの対策については、こちらの記事もご覧ください。
⇒カメムシがマンションで大量発生? カメムシの発生時期と産卵、いつ、どこに?
果樹カメムシ類のツヤアオカメムシは、2023年に大量発生して話題となりました。その年に孵化して成虫となったカメムシが、翌2024年の春に再び活動し始めたため、現在は多くの自治体で注意報が出ています。
カメムシは明るい光に引き寄せられるため、都市部に飛来してきているとみられています。
昆虫の発生状況は様々な影響で年ごとに多少の変動があるものですが、カメムシが例年より多く発生していることや早い時期から大量発生している原因のひとつには、地球温暖化や暖冬が影響していると考えられます。しかし、カメムシの増減には様々な要素が関係しているため、大量発生の明確な理由はわかっていません。
2. カメムシ注意報、カメムシ警報って何? 果物や米への影響を減らすための予測
近年の暖冬傾向がカメムシの発生状況に及ぼす影響としては次のようなものが考えられます。
・南方に生息する種の分布圏が北に拡大する
・冬季に死亡する成虫が減少する
・春の出現期が早くなる
・産卵活動が活発化する
・幼虫の餌となるスギなどの球果(実)が増加する
冬の平均気温が高くなったことで、春まで生き延びる個体が例年より多いと、産卵する個体も増えるため、結果として孵化する個体が増えます。
また、冬眠から目覚める時期が早くなれば、必然的に活動する時期も長くなり、繁殖する回数も増えることになります。さらに、暖冬の影響で餌となるスギなどの実が多く実ることもカメムシの生存率や繁殖率高める要因となっています。
そして、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシやクサギカメムシなどの果実を吸汁するカメムシや、水稲を好むクモヘリカメムシやイネカメムシなどが増加したことで、近年は「カメムシ注意報」が新聞やニュースなどのメディアでも取り上げられるようになりました。
この「カメムシ注意報」とはどんなものでしょうか。
カメムシの影響を受けた果実には落果やキズがつくといった被害がおよび、米は斑点米となって価値が下がってしまうため、果物や米を生産する農家にとってカメムシは非常に厄介な存在です。
国はこのような病害虫による農家の被害を防ぐために様々な調査の結果を分析し、都道府県と協力して「病害虫発生予察情報」を提供しています。
特に、重要な病害虫の大発生が予測され、早急に防除対策を講じる必要がある場合は、都道府県の判断で「警報」が発令される他、警報レベルではないものの、早めに対策を講じる必要がある際は「注意報」が発令されます。
こうした警報や注意報の発令数は、過去30年間で倍増しているという報告もあります。
2024年には9月中旬までの間に果樹カメムシ類の警報・注意報が38都道府県においてすでに61件発表されています。
引用:令和6年の果樹カメムシ類の警報・注意報の発表状況(農林水産省)
カメムシの「病害虫発生予察情報」は、農地以外の発生状況と必ずしも一致しません。しかし、自宅と農地の距離や周辺の自然環境などを考慮すれば、市街地でも有用な情報源となり得ます。ぜひ参考にしてみてください。
※病害虫発生予察情報(農林水産省)
3. カメムシの臭いをなんとかしたい! ついてしまった臭いの対策方法とは
《もし、カメムシの臭い成分が手などついてしまったら》
さて、カメムシの強烈な悪臭は、カメムシが身の危険を感じたときに発します。その臭いの強烈さは密閉容器内で自分の発した臭いによってカメムシ自身もショック死することがあるほど。
カメムシの臭いが手や服につくと取れにくいといわれますが、それは、その臭いの成分が油に溶けやすく水に溶けにくいためです。
万が一、カメムシの臭い成分が手などについてしまった場合は、サラダ油やオリーブオイル、クレンジグオイルなどの油系の液体を手にすり込んだあと、石けんで洗い流しましょう。
衣類などについてしまった場合は、界面活性剤入りの洗剤で洗うか、臭い成分は揮発性なのでドライヤーやスチームアイロンの熱をあてるのも有効です。
4. カメムシをできるだけ安全に駆除する方法
もし、家の中にカメムシが侵入してしまったら、一番重要なのは悪臭を発生させないことであり、そのためには、とにかくカメムシを驚かせないことが大切です。したがって、間違っても叩いたりしてはいけませんし、掃除機で吸い込むのも掃除機内部で悪臭を発生する場合がありますので、こちらも厳禁です。
100%安全な手段はありませんが、できるだけ悪臭を出させずにカメムシを駆除するには、次のような方法があります。自宅に材料があり、自分でできそうな方法を選んで、あわてずに落ち着いて実行しましょう。
《悪臭を出させずにカメムシを駆除する方法》
・カメムシの体全体をティッシュで覆う(※状況を問わず) | |
刺激を与えないよう、ふんわりとしたティッシュでやさしく覆うようにして捕獲して逃がしましょう。持ち上げた際にモゾモゾ動くカメムシに驚いて離さないように注意してください。ティッシュで持ち上げたあとは、ビニール袋に入れて口を結んで運ぶとより安全です。 |
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・ガムテープを使う(※床にいる場合) | |
カメムシの進行方向に紙を置いて誘導し、上に乗ったら粘着力の強い布ガムテープで上から覆い、カメムシをつぶさないように周囲を貼り付けて閉じ込めます。ガムテープのみで捕獲に挑戦する方もいるようですが、よほど慣れていないと失敗します。 |
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・牛乳パックを使う(※天井・壁にいる場合) | |
空の牛乳パックの上部を全開にし、中に食器用洗剤を数cm入れておきます。カメムシにパックの口を近づけて軽く触り、中に落ちたら牛乳パック上部を閉じます。 |
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・空のペットボトルで捕獲器を作る(※天井・壁にいる場合) | |
ペットボトルの上部3分の1くらいを切り、切った部分を上下逆にして下部にはめ、テープで固定し、中に食器用洗剤を数cm入れておきます。カメムシに捕獲器を近づけて軽く触り、中に落とします。 |
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・市販の殺虫剤を使う(※状況を問わず) | |
凍結タイプのスプレー剤を直接吹き付けるのが効果的です。驚かさないようにゆっくり近づき、吹き飛ばさないようになるべく垂直方向から吹き付けるようにしましょう。 |
5. カメムシを部屋に入れないための予防策
家の中でカメムシを駆除するのは何かと面倒なので、できれば避けたいものですが、それには、そもそも家の中にカメムシを入れないことが大切です。カメムシがどうやって室内へ侵入するのかを知って、効果的に対策をしましょう。
・洗濯物を取り込むときに注意すること
カメムシは白い色を好むため、外に干した洗濯物、特に白いシーツなどにつくことがあります。洗濯物を取り込むときはよく確認し、もし、カメムシがついていたら、ベランダで洗濯物をゆらしたり振ったりして、飛んで行かせるようにします。このとき、激しく振る、叩くなどしてカメムシを刺激してはいけません。
この方法でカメムシを逃せない場合は、上記のガムテープや捕獲器を使う方法を試してみるか、市販のカメムシ専用の駆除スプレーを使うのもいいでしょう。殺虫成分が入っていない、洗濯物にかけても問題のない製品も販売されています。
また、カメムシは柔軟剤のフローラルな香りを好むという性質もあるようですので、柔軟剤を使用している場合は、よく注意して洗濯物を取り込むようにしましょう。
・照明を消灯・減光、または遮光する
ツヤアオカメムシには光(特に紫外線)に強く誘引される性質があり、夜間は照明に多く集まります。まずは、外にもれる照明の光を落とすことができないか検討してみてください。
紫外線の量が蛍光灯より少ないLEDに取り換えるのも一つの方法です。
加えて、カメムシを洗濯物に寄せ付けない、他の経路から室内へ侵入させないようにすることも大切です。そこで、ベランダや開口部に下記のような対策をしましょう。
・ベランダの雑草・落ち葉をそのままにしない
ベランダでガーデニングをしている場合、雑草が生えていたり落ち葉が溜まっていたりするのは、カメムシが好む環境です。こまめに雑草・落ち葉を取り除きましょう。
・開口部などの隙間をなくす
カメムシはわずか2mm程度のすき間からでも入ってきます。ガラス戸や網戸と窓枠の間、ガラス戸・網戸どうしの合わせ目にすき間がある場合はすき間テープなどでふさぐようにしましょう。
・窓の開け方に注意する
引違い窓は一般的に右側の窓が室内側にあり、網戸は外側のサッシに接するように作られています。そのため窓を開けたい時は左側(外側)の窓だけを全開にし、網戸を左側に寄せるか、右側(室内側)の窓だけを全開にして、網戸を右に寄せると隙間が狭くなります。
少しだけ窓を開ける際は、窓と網戸に隙間が生じないよう、右側の窓を開けて網戸を右に寄せることで虫の侵入を防ぎましょう。
・市販の忌避剤を使う
侵入を防ぐには市販の忌避剤も有効です。窓ガラスや網戸などにスプレータイプの忌避剤を吹きかけておきましょう。
侵入したカメムシが室内で産卵・繁殖すると駆除するのも非常に大変です。カメムシは集合フェロモンで群れをつくる性質があり、さらに、人が近づくと素早く隠れることから、1匹見かけたら周囲に何匹もいると考えられます。夜行性で人に見つからずに移動することも可能です。マンション周辺でカメムシを見かけたら、家に入れないよう早めの対策をおすすめします。
カメムシの生態と室内への侵入経路や方法を知ることで、対策は効果的に行いましょう。
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