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マンションを緑化する。〜ユニバーサル園芸社さんのショールーム視察レポート〜
ユニバーサル園芸社さんのショールームを訪れて
今回は、先般、改修工事を施工した東京都の荻久保にあるマンションのグリーン・リフォームでお世話になりました「ユニバーサル園芸社」のショールーム(東京都中央区日本橋)をご案内いただきましたので、その様子を対談形式でレポートします。マンションにおけるエントランス共用部などのグリーン・リフォームなどの参考になれば幸いです。
ショールームを案内して頂いた平川さん(左側)と今西さん(右側)
ユニバーサル園芸社さんの会社概要はこちら。 会社名:株式会社ユニバーサル園芸社 大阪本社:大阪府茨木市佐保193-2 東京本社:東京都中央区日本橋箱崎町5-11 HP:https://uni-green.co.jp/ |
熊谷:今日はショールームにお招きいただきましてありがとうございます。早速、打合せ会議室がレトロな喫茶店のように雰囲気が洒落ていて驚きました。はじめにユニバーサル園芸社さんについて教えてください。
テーブルを囲んで打合せしている様子
平川さん:ショールームにお越し頂きありがとうございます。本日、ご案内させていただく平川です。どうぞよろしくお願いします。私たち「ユニバーサル園芸社」は、レンタルグリーン(貸し植木)事業を中心に、レンタルアートフラワー事業(室内壁面装飾、造花アレンジメント)や外構植栽、屋上緑化、壁面緑化事業等、幅広く園芸業に携わる総合園芸会社です。
1968年大阪府の茨木市にて園芸会社を創業し、2012年4月に東京証券取引所JASDAQ市場(現スタンダード市場)へ上場「園芸」という切り口から様々な事業展開を行い、今では関西、関東で二大本社を構え、日本全国で13支店、従業員約1000名の会社となりました。会社の平均年齢は32.6歳で、従業員は会社全体を通して若手が非常に多く、こちらの東京本社にいる社員の過半数は20代です。
ショールーム兼オフィスになっている東京本社についても、驚きの声を頂けて嬉しいです。私が入社したときには、既にオフィスがこのようになっていたのですが、実は6年前まではよく目にするような固定席のオフィスで、先輩からは、雰囲気も今のような空間ではなかったと聞いています。
今日は私たちがグリーンを手掛けたショールームを案内させて頂きます。
ショールームと呼んでいますが、オフィスと兼用になっているので業務中のスタッフが在席しています。予めご了承ください。
ショールーム兼オフィスの様子(生木フロア)
熊谷:ナチュラルで素敵なオフィスですね。机は全て、天板に合板を使った造作家具で、緑と照明が巧みに配置されていますね。建築と自然と人が調和して、空間に溶け込んでいるような印象を受けます。クリエイティブな仕事に最適なのではないでしょうか。オフィス内の植物の設えは、マンションの共用部などのデザインにも参考になると思いました。
平川さん:私たちは生木とフェイクグリーン(人工樹)を共に取り扱っていますが、このフロアに設えられているのは天井の藤ヅルを除き全て生木です。私たちは緑のプロとして、社員で持ち回りながら植物の管理も責任をもって行います。社内全体を通して毎朝8時から15分間、掃除の時間が定められているのですが、この15分間で植物への水やりやメンテナンス、時には樹種の入れ替えも行っています。
「建築と緑の中に人が溶け込んでいるかのような。」との感想を頂きましたが、私たちユニバーサル園芸社が大切にしているコンセプトは、まさに「人と緑の関係作り」です。ですから、実際に人が働いている中で緑が活かされているところを、見て、感じて頂くのが今回のようなショールームツアーの目的の一つでもあります。デスクはフリーアドレスになっており、スタッフは自分のお気に入りの席に座ったり、一緒に仕事を進めている人と隣り合わせになったりと、仕事の状況によって色んな席に座ります。私はオフィス全体を見渡せて、声をかけたい人がすぐに見つけられる窓際一番奥の席が好きですが、例えば今日中に提出しないといけないプランがある日などに、一日こもって集中したいときには、2階にあるブースタイプのスペースを利用することがあります。
次は、ただ今お話が上がった、2階のフェイクグリーンフロアのショールームへご案内します。
ショールーム兼オフィスの様子(フェイクグリーンフロア)
熊谷:生木フロアのショールーム(オフィス)は、落ち着いていて、カフェのような雰囲気が魅力的でした。また、ショールーム兼使用中のオフィスというのが特徴的でしたが、良く考えると実際に人がいる空間の方が、単なるショールームよりもイメージがしやすいのかもしれません。
ショールームにも様々な形態がありますね。ところで、2階のフロアにあるフェイクグリーンは、生木と見分けがつかないほど精巧に作られています。植物の育成は手間がかかるので、このようなフェイクグリーンなら手間をかけずに緑を楽しむことができて良いですね。
平川さん:フェイクグリーンは、本物の植物が持つ美しさや枝葉を再現しつつ、メンテナンスフリーというメリットがあります。近年は本物のモス(苔)をシート状にして乾燥させたプリザーブドモスなどもあり、フェイクグリーン全体として精度もかなり高く人気があります。
例えば、地下室や光が入りづらいお部屋など、自然光が入らない場所でも植物の緑を楽しむことができますし、忙しくて水やりや剪定などの手入れができない場合や、旅行などで長期間不在にする場合にも便利です。
例えばマンションのエントランスホールに用いれば、手軽に癒し効果が得られる装飾になります。
また最近では、壁いっぱいに敷き詰めた写真のようなウォールグリーンも増えてきています。
フェイクグリーンに加え、流木やストーンのマテリアルを組み込んだり、時にお花の造花のみで壁面を装飾したりすることもあります。壁面に取り付けることもあれば、天井から、窓際から、お客様のご要望に合わせてひとつひとつオリジナルの施工を手掛けることができるのが、ユニバーサル園芸社の強みです。
フェイクグリーンで設えた坪庭を囲んで打合せ
平川さん:こちらの装飾は、日本庭園を模したフェイクグリーン装飾です。このような装飾は商業施設の屋内に用いられるケースが多いですが、例えばマンションのエントランスの一画に設えて、脇にベンチなどを置けば、ちょっとした癒しの休息空間を演出することができます。
熊谷:マンションの修繕やリノベーションといったリニューアル工事において、これまでこのような装飾をした事例はありますか?
平川さん:はい。やはり一番人の目につきやすいエントランスでご相談をいただく事が多く、装飾のご発注を頂いたことがあります。置き鉢を置くことも提案の一つとして挙げますが、ちょっと遊び心のあるデザインを加えた壁面グリーンの装飾や、森を切り取ったかのようなグループプランツも提案させて頂くと、お客様に興味をもって頂けることが多くありました。
既存のマンションにもこのようなグリーンを設えることで、生活する人の心が豊かになり、付加価値を高めることができればよいと思っています。
弊社ホームページには、これまでの施工事例も数多く掲載しております。オフィスや商業施設のエントランスが中心ですが、実際に検討される際はイメージづくりの参考になるかと思いますのでぜひご覧ください。
熊谷:本日はショールームをご案内いただきましてありがとうございました。緑に関するいろいろなことを学べましたし、自然をうまく取り入れた空間を巡回し、リラックスできました。早速、また来てみたくなりました。今後ともよろしくお願いいたします。
平川さん:本日はユニバーサル園芸社のショールームにお越しいただき、誠にありがとうございました。当社は、マンションをはじめ、オフィスや庭園など多岐にわたる場所で「植栽を用いた空間コーディネート」を提供しています。
「植栽を空間に増やしたい。」「マンションの価値を高めたい。」など、植栽を置く理由はお客様によって様々です。ご質問やご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にお尋ねください。皆様と一緒に、より良い空間を作り上げていくお手伝いをさせて頂ければ幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。
おわりに
今回は、ユニバーサル園芸社さんのショールームをご紹介しました。訪問前は植物の装飾事例を拝見するイメージでしたが、実際には目下業務真っただ中のオフィスの中を見学することになったのが意外でした。しかし、緑を提供する会社が、自らも緑に囲まれて仕事をしている姿を見せるという姿勢から園芸に対する深い思いが伝わりました。
一般的に、リノベーションといえば、耐震性能や断熱性能などの基本性能を高めたり、バリアフリー等により機能性を高めるなどありますが、心を豊かにするためのマインド的なリノベーションもあることを学びました。あなたのマンションの共用部に緑を取り入れたリノベーションをご検討してみてはいかがでしょうか。最後に、今回、色々な気付きを与えてくださいましたユニバーサル園芸社さんに、この場をお借りして御礼申し上げます。
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■この記事のライター
□熊谷皇(くまがいこう)
国立大学法人 鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境工学(温熱環境、省エネ等)。国土交通省 住宅の省エネ基準検討WG委員、日本産業規格JIS A 9521(2017)コンサルタント、建築環境省エネルギー機構(IBEC)・日本建築センター(BCJ)・職業能力開発総合大学校の講師、日本建築ドローン協会(JADA)のWG委員を歴任。
(2024年7月8日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。