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建物イメージと資産価値を向上 「赤坂レジデンシャルホテル」外装大規模修繕工事
※この原稿は、2015年6月に建装工業が発行した広報誌「MLだより Vol.18」に掲載された記事の内容を再編集したものです。
目次
1. 外壁を一新、資産価値を向上させる
2. 外壁の「コテ塗り御影石」仕上げとは
3. 約700の住戸の窓更新工事も
4. 管理組合の要望を可能にしたもの
目次
1. 外壁を一新、資産価値を向上させる
2. 外壁の「コテ塗り御影石」仕上げとは
3. 約700の住戸の窓更新工事も
4. 管理組合の要望を可能にしたもの
1. 外壁を一新、資産価値を向上させる
東京都港区、赤坂エリアに立地する「赤坂レジデンシャルホテル」(1971年築、RC造、710戸)は、もともとはホテルとして営業されていましたが、現在では分譲マンションにコンバージョンされています。利便性の高い土地柄に加え、車寄せやロビーなどもあり、フロントサービスも充実していることから、セカンドハウスや事務所としても人気の高い物件です。
築44年を迎えた2015年に、外装の大幅な変更と省エネ効果の高いサッシへの交換工事といった大規模修繕が実施されました。大規模修繕にあたって、この建物の管理組合から出された要望は「建物イメージを一新し、資産価値の向上を促す」ことでした。この要望を実現する工事が、どのように進められたかをお伝えいたします。
築44年を迎えた2015年に、外装の大幅な変更と省エネ効果の高いサッシへの交換工事といった大規模修繕が実施されました。大規模修繕にあたって、この建物の管理組合から出された要望は「建物イメージを一新し、資産価値の向上を促す」ことでした。この要望を実現する工事が、どのように進められたかをお伝えいたします。
2. 外壁の「コテ塗り御影石」仕上げとは
これに先立つ10年前にも、赤坂レジデンシャルホテルでは外装の改修が行われています。しかし、この間に街並みや人の流れも変わっており建物の価値を維持していくには外観イメージもその変化に応じることが大切です。管理組合の要望をもとに、この建物にふさわしいと設計者が考えたのは外壁を天然石調とする仕上げでした。
とは言え、材料が重く構造体へ重量負担がかかることから、本物の石を外壁に貼ることはできません。また、単に石風に見える塗装で重厚感を出すには限界があります。そこで、さまざまな検討を重ね採用されたのが「コテ塗り御影石」と呼ばれる仕上げでした。これは、職人の手によって石調の塗材をコテで塗って仕上げていく手法です。仕上げ材の剥離落下などを抑えて安全性を確保し、まるで御影石のような風合いを演出することができます。
とは言え、材料が重く構造体へ重量負担がかかることから、本物の石を外壁に貼ることはできません。また、単に石風に見える塗装で重厚感を出すには限界があります。そこで、さまざまな検討を重ね採用されたのが「コテ塗り御影石」と呼ばれる仕上げでした。これは、職人の手によって石調の塗材をコテで塗って仕上げていく手法です。仕上げ材の剥離落下などを抑えて安全性を確保し、まるで御影石のような風合いを演出することができます。
3. 約700の住戸の窓更新工事も
この大規模修繕は今後の30年を見すえ、外壁表面だけでなく構造体の保全も考えなければならず、新築時から外壁全体を覆っていた塗膜の全面剥離が行われました。外壁に規則的に並ぶ「窓」も、性能上、機能上、寿命を迎える時期にきていたため、カバー工法により全面的に更新することになりました。外壁塗装の全面剥離とおよそ700の住戸の窓更新をスムーズに進めるには、入念な施工計画が欠かせません。特に窓のサッシ更新は室内からも工事をするため各区分オーナーの同意が必要になります。
しかしながら、住戸の大半は事務所用途で、自社所有の他に賃貸や転貸、オーナーと連絡が取れていないなどのケースもあり、実際の使用者も多国籍であるといった非常に複雑な状況でした。そのため、窓更新の施工準備は4ヵ月前から始め、最終的には、99.3パーセントの住戸で同意を得て工事を完成させることができました。この達成率は予想を大きく上回るもので、これは管理会社とサッシメーカーの担当者・施工会社現場代理人の見事な連携と、施工会社の総合的な組織力の賜物と言えるでしょう。
しかしながら、住戸の大半は事務所用途で、自社所有の他に賃貸や転貸、オーナーと連絡が取れていないなどのケースもあり、実際の使用者も多国籍であるといった非常に複雑な状況でした。そのため、窓更新の施工準備は4ヵ月前から始め、最終的には、99.3パーセントの住戸で同意を得て工事を完成させることができました。この達成率は予想を大きく上回るもので、これは管理会社とサッシメーカーの担当者・施工会社現場代理人の見事な連携と、施工会社の総合的な組織力の賜物と言えるでしょう。
4. 管理組合の要望を可能にしたもの
さて、今回の工事の目玉となった外壁工事についてですが、まず、外壁表面の塗膜を剥がすことであらわれた40年以上前の躯体コンクリートの劣化状況は予想を超えたものでした。当初想定していた3倍近くの補修箇所に相応の労力と時間が費やされました。
また、この建物は、東側道路に対し、水平方向に90m、高さ方向に28m面しています。圧倒的な面構えですが、新築当時の施工技術では現代の精度に至っていませんでした。そこで、外壁表面の凹凸、目地の水平・垂直、窓の配置などのズレやバランスを修正する必要もあり、すべての位置関係についての調査を行い、検討を繰り返し、数値を合わせていったのです。
窓更新からこれらの作業を経て、工事は最終のコテ塗り仕上げへと進みました。コテ塗り御影石は、適切にメンテナスを施せば30年以上の耐用年数が望めますが、それには施工時の徹底した管理が前提となります。気象条件のチェックや作業手順の厳守、工程ごとの検査などを入念に行いながら、工事は順調に進みました。これを可能にしたのは熟練職人による高い技能と徹底した工程管理です。
こうした工程を経て着工から5ヵ月後、管理組合の要望に答え、イメージを一新した赤坂レジデンシャルホテルが披露されました。
また、この建物は、東側道路に対し、水平方向に90m、高さ方向に28m面しています。圧倒的な面構えですが、新築当時の施工技術では現代の精度に至っていませんでした。そこで、外壁表面の凹凸、目地の水平・垂直、窓の配置などのズレやバランスを修正する必要もあり、すべての位置関係についての調査を行い、検討を繰り返し、数値を合わせていったのです。
窓更新からこれらの作業を経て、工事は最終のコテ塗り仕上げへと進みました。コテ塗り御影石は、適切にメンテナスを施せば30年以上の耐用年数が望めますが、それには施工時の徹底した管理が前提となります。気象条件のチェックや作業手順の厳守、工程ごとの検査などを入念に行いながら、工事は順調に進みました。これを可能にしたのは熟練職人による高い技能と徹底した工程管理です。
こうした工程を経て着工から5ヵ月後、管理組合の要望に答え、イメージを一新した赤坂レジデンシャルホテルが披露されました。
《この記事のライター》
舘林 匠
北海道出身 飛行機の整備士を目指し、日本航空学園千歳校を卒業後なぜか建築の道へ。
一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士、宅建士をはじめ25の資格を有し、
バイク、ダイビング、DIY、料理など多趣味でちょっと飽きやすい性格。
最近はドローンにはまりプライベート機を3機保有している。
KENSO Magazine編集長 兼 ライター
(2019年4月1日記事更新)
★詳しくはこちらをご参照ください。
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