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新避難情報開始へ(災害対策基本法等の一部を改正する法律)
2021年5月20日から災害対策基本法の一部改正が施行され、避難情報等が変わりました。これは、本来避難すべき避難勧告のタイミングで避難が行わず、結果として、逃げ遅れてしまい、被災する人が多く発生してしまっていたことと、避難勧告と避難指示の違いについて正確に理解されていなかったからです。そこで、今回の改正にあたり、避難勧告と避難指示を一本化して、従来行われてきた勧告の段階から避難指示を行うことにして、避難情報のあり方を包括的に見直しました。
今回は、この話題について取り上げたいと思います。
1. 災害対策基本法とは
まずは、災害対策法の概要ですが、目的として、「国民の生命、身体及び財産を災害から保護し、もって、社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする」とあります。
法の概要としては
1 防災に関する責務の明確化
2 総合的防災行政の整備
3 計画的防災行政の整備
4 災害対策の推進
5 激甚災害に対処する財政援助等
6 災害緊急事態に対する措置
について規定されています。
制定にあたっては、昭和34年の伊勢湾台風を契機として昭和36年に制定されました。伊勢湾台風については、ご存じの方も多いと思いますが、改めて説明させていただくと9月21日にマリアナ諸島の東海上で発生した台風第15号の中心気圧が1日に91hPa下がるなど猛烈に発達し、非常に広い暴風域を伴ったものでした。9月26日18時頃和歌山県潮岬の西に上陸し、 本州を縦断して富山市の東から日本海に進み、北陸、東北地方の日本海沿いを北上し、東北地方北部を通って太平洋側に出た台風です。広い範囲で強風が吹き、伊良湖(愛知県渥美町)で最大風速45.4m/s(最大瞬間風速55.3m/s)、を観測しました。
紀伊半島沿岸一帯と伊勢湾沿岸では高潮、強風、河川の氾濫により甚大な被害を受け、特に愛知県では、名古屋市や弥富町、知多半島で激しい暴風雨の下、高潮により短時間のうちに大規模な浸水が起こり、死者・行方不明者が3,300名以上に達する未曾有の被害を出した大災害です。
(参考文献:気象庁:災害をもたらした気象事例:伊勢湾台風より)
<参考情報>
内閣府:災害対策基本法
内閣府:災害対策基本法の概要
内閣府:伊勢湾台風
気象庁:伊勢湾台風
また、ハザードマップで浸水が想定されるエリアに住む人が、全国で20年間に150万人以上増えています。背景には様々な理由が有りますが、浸水エリアの住宅の命と暮らしをどう守るかは、大きな社会問題でもあります。
2. 今回の改正内容
避難などに関する情報は5段階の大雨警戒レベルにわけて運用されてきましたが、必ずしも的確な避難につながっていないとされ、過去にも工夫されてきましたが、今回、再び避難情報が変更されました。
下図のように、これまでの災害発生情報(災害を確認した時に発令)から緊急安全確保に名称が変わりました。ただし、これは、市町村が災害の状況を確実に把握できるものではない等の理由から警戒レベル5は必ず発令される情報ではないとのことで、警戒レベル4までに必ず避難することが大切です。
レベル4では避難指示(緊急)と避難勧告が一本化され、避難指示に変わりました。
レベル3の避難準備・高齢者等避難開始は、高齢者等避難と名称が変わりました。避難に時間のかかる高齢者や障害のある人は、警戒レベル3で危険な場所から避難しましょうとのことです。
出典:内閣府 防災情報のページより 新たな避難情報に関するポスター・チラシ
3. まとめ
地球温暖化の影響もあり、水害リスクは年々高まっていると言われています。ぜひ普段からどう行動するかを決めておくのと早めの行動が重要です。
また、建装工業では、水害対策工事や防災力向上工事も行っていますのでお気軽にご相談ください。また、関連した役立つ記事もあるので、ぜひ下記の記事も併せてお読みくださいますと幸いです。
新たな避難情報に関するポスター・チラシ 裏 内閣府(防災担当)・消防庁
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