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関東大震災から100年。これを機会にマンションにおける防災対策を見直してみては?
来年、2023年の9月1日で、関東大震災の発生からちょうど100年をむかえることになります。本記事では、関東大震災の被害や教訓を知り、いつ起きてもおかしくない巨大地震への備えについて考えます。その後、マンションの各家庭における備えや対策、マンション全体で取り組むべき防災対策、大規模修繕時にプラスしたい設備などをご紹介します。
目次
1. 関東大震災について学び、教訓にする
2. マンションの各家庭における防災対策
3. マンション全体で取り組む対策・耐震補強
1. 関東大震災について学び、教訓にする
●来年、2023年9月1日は関東大震災からちょうど100年目
1923年9月1日午前11時58分32秒、相模湾北西部を震源とするマグニチュード7.9の大地震・関東大震災が発生しました。
関東大震災の前日まで台風が来ており、当日は強風が吹いていた模様です。
あの大地震からちょうど100年が経ちます。日本では、この100年の間にも阪神・淡路大震災や東日本大震災など、巨大地震が発生しています。
●関東大震災の被害を知る
・報告書(1923 関東大震災)(内閣府 防災情報のページ)
内閣府が作成した災害教訓の継承に関する専門調査会報告書によると、この地震の死者・行方不明者は、10万5,385人となっています。
全潰全焼流出家屋は93,387に上り、ライフラインに多大な影響を及ぼしました。
また、神奈川県西部及び千葉県の房総地域では、多数の土砂災害が発生し、小田原市根府川で死者406人という深刻な被害も生じました。
・東京都復興記念館
1931年(昭和6年)に東京都慰霊堂の付帯施設として建設された資料館です。
復興の様子を表した模型や被災物、遺品などの戦災関連資料が数多く展示されています。
●関東大震災の教訓
・耐震性の低さ
当時は耐震基準が規定される前であり、住宅の耐震性が低かったことが建築物倒壊の原因として挙げられます。
この教訓が活かされた結果、煉瓦造の建物が無くなり、鉄筋コンクリート造が主流となりました。
・火災の発生
2つ目の被害である火災の原因としては、地震の発生が土曜日の正午前ということで、昼食の準備をしている時間帯であり、火を使っていた家庭が多かったことが考えられます。
また、木造の家屋が密集していたこと、南関東地方で風速10m/sを超える強風が吹いていたことなども延焼被害を拡大させた要因であります。
さらには、余震によって初期消火を妨げられたことも影響しています。
・土砂災害・津波
地震前に丹沢山地を中心とした降雨の影響で、多くの土砂災害が発生したことも被害拡大の要因です。死者は700〜800人にも及んでいます。
一方、津波による死者も200〜300人程度となっていますが、こちらは適切な避難行動によって最小限に抑えられたと見られています。
2. マンションの各家庭における防災対策
●ライフラインがストップすることを前提とした準備を
ヘッドライトやランタンなどで明かりを確保する、非常食を食べる、ポリタンクなどで水を運ぶなど、ライフラインがストップすることを想定した準備を行っておく必要があります。
●日頃から備蓄の習慣をつける
日頃から非常食や飲料水、マスク、トイレットペーパー、ティッシュペーパー・マッチ、ろうそく、カセットコンロなど、災害時に必要となるものを備蓄する習慣をつけることが大切です。
備蓄関連の過去記事もご参照ください。
⇒マンションでの防災対策。一年に一度の備蓄の日に日常備蓄をチェック!
●家具の転倒防止対策
家具の配置を工夫することやL型金具でネジ止めすることが奨励されています。ただし、L型金具は壁側に穴を開けられない賃貸物件には向きません。
また、キャスター付きの家具は、ロックしておくと良いでしょう。
●地震が発生した時の対応をあらかじめ確認しておく
机の下に隠れることや火元の確認、棚の下敷きになっていないか、人命の安全を確保するなど、地震発生時の対応を事前に確認しておきましょう。
3.マンション全体で取り組む対策・耐震補強
●マンション全体で防災対策を考える
・災害マニュアルの作成
巨大地震に備えて建物の規模や構造に応じた防災マニュアルの作成が必要です。
その際には理事会や防災の専門委員会など、防災組織の立ち上げも行います。
また、防災マニュアルの保管方法や居住者名簿の更新・管理、閲覧方法に関する規約の作成も必要です。
その他、マニュアルに基づいた防災訓練の定期的な実施も必要です。
災害マニュアル等の過去記事もご参照ください。
⇒マンション防災 自主防災組織はあったほうがいい?
●大規模修繕の際にやっておきたい防災対策
大規模修繕の際は、足場の設置や資材の搬入・搬出、解体など、危険を伴う作業があります。
中でも塗装工事による建築用塗材やシーリング工事に使用する接着剤などは、可燃性が高いので注意しなければなりません。
また、工事の規模に応じて火災の被害を防ぐ目的で防火管理者を設置する場合があります。
防火管理者には甲種・乙種の2種類があります。
「マンションの防災力を高める 大規模修繕でプラスしたい施設・設備とは」
・国土交通省「マンション耐震化マニュアル」
国土交通省は「マンション耐震化マニュアル」を公表しています。
このマニュアルは、マンション耐震改修の進め方やマンションの耐震診断、耐震改修に対する補助制度や融資制度など、耐震改修の促進を図ることを目的としたものです。
防災活動のルールをつくる際はこれらを参考として積極的に活用することが大切です。
■あわせてお読みください。
・風水害に備えた自分専用の防災計画を! 「マイ・タイムライン」の作り方
・マンションでの防災対策。一年に一度の備蓄の日に日常備蓄をチェック!
・食品ロス(フードロス) 削減のために、家庭でできることを実践しよう!
・マンション防災 自主防災組織はあったほうがいい?
・マンションの防災力を高める 大規模修繕でプラスしたい施設・設備とは
・災害発生時に必要となる住人の自助と共助。あなたのマンションは大丈夫ですか?
・マンション管理組合が取り組むべき水害対策とは
・災害に備えてマンションの防災力を強化!
・台風の季節到来!マンションでの対策は大丈夫?
・うちのマンションは大丈夫? 建物電気設備の浸水対策ガイドラインが示されました
・マンションバルコニーのお手入れをしておけば、台風の季節も安心?
■この記事のライター
熊谷 皇
建装工業株式会社 MR業務推進部所属
千葉県出身。鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境(温熱環境性能、住宅の省エネ性評価等)。住宅の省エネ基準検討WGの委員、建築環境省エネルギー機構・日本建築センター・職業能力開発総合大学校等の講習会講師の経験を持つ技術者。ライター。
※建装工業株式会社公式HPはこちら
(2022年9月5日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。