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エアコン、トイレ、洗濯機からの水漏れに注意! マンションでの予防策と対処法
マンションでの水漏れは居住者間の問題になる可能性があるため、いったん起きてしまうと後が大変です。水漏れの原因は老朽化によるものもありますが、あらかじめ予防や対策ができる部分は対策しておきたいもの。エアコン、トイレ、洗濯機などからの水漏れが起きないよう、普段の生活における注意点や定期的な排水溝や排水管の清掃について解説し、実際に水漏れが起きた場合の対処法もご紹介します。
目次
1.急に起こる厄介なトラブル、水漏れ
2.エアコン、トイレ、洗濯機。水漏れを起こさないために
3.水漏れを起こしてしまった場合の対処法
急に起こる厄介なトラブル、水漏れ
ある日突然起きて慌ててしまう水のトラブル、水漏れ。一度起きたら後回しにはできず、急な対応を迫られます。漏水とも呼ばれる水漏れは、どのように発生するのでしょうか。水漏れが起こるケースは、大きく2つに分けられます。
●居住者が原因となって起こる人為的な水漏れ
居住者の不注意や管理不足によって引き起こされる水漏れ理由としては、以下のようなものがあります。
・ トイレに異物や大量のトイレットペーパーを流し、詰まってしまった
・ 洗濯機のホースが外れてしまった
・ 清掃を怠ったために排水溝や排水管が詰まって水があふれ出た
・ エアコンのドレンホースが詰まったり割れたりしてエアコンから水が垂れてきた
・ 窓を開けたまま外出したら突然の大雨が部屋に降り込み、下の階に水漏れした
これらの理由による水漏れは日頃の積み重ねなど、居住者の過失によって起こることが多く、ある程度は防ぐことが可能です。
●マンション自体の老朽化によって起こる水漏れ
「最近、水の流れが悪くなったかも」と感じたことはありませんか?
それはもしかするとマンションの老朽化が原因かもしれません。老朽化による水漏れが発生した場合、居住者には責任がないと思われるかもしれませんが、修理費や水漏れ被害に遭った世帯への賠償費用をだれが負担するのかということは、水漏れの発生源の場所で決まります。部屋の「専有部分」に原因があって発生した水漏れはその居住者の負担となり、マンションの「共用部分」に原因があって発生した場合は管理組合の負担、つまり区分所有者全体で責任を負うことが原則となります。所有区分については一般的に次のように考えられていますが、マンションごとでも異なりますので、お住まいのマンションの管理規約をご確認ください。
給排水管の一般的な所有区分
●給水管
<共用部分>
・垂直にマンションの各階をつないでいる「立管」
・立管から水平方向に枝分かれする「横引管」のうち、立管から各住戸の水道メーターまでの部分
<専有部分>
・床下を水平方向に走る横引管のうち、各住戸の水道メーターから住居内の水回り設備までの部分
●排水管
排水管の所有区分は、一般的には排水器具から立管までの横引管が「床スラブ」と呼ばれる構造上のコンクリート床の上にあるか、下にあるかで判断されます。※
排水横引管が「床スラブ」の上にある場合、水回り設備の排水部分から立管までが専有部分となり、立管は共用部分となります。
特に築古マンションに見られる、排水横引管が「床スラブ」の下にある場合は、水回り設備の排水部分から「床スラブ」の下に入るまでが専有部分、「床スラブ」下から立管までが共用部分となります。
※各マンションによって管理規約は異なっています。お住まいの管理組合の規約をご確認ください
エアコン、トイレ、洗濯機。水漏れを起こさないために
水漏れの被害者となるのはもちろん嫌ですが、自分のせいで他人の部屋に水漏れを起こしてしまうのも嫌ですよね。
普段の生活での水回りにおける使い方や日々の清掃で気を付けるポイントを確認し、水漏れを発生させてしまうリスクを軽減させましょう。特に専有部では、給排水まわりを定期的に点検して異変にすぐに気づけるようにしておくと、水漏れが発生しても発見しやすくなります。
<居住者による対策>
●エアコン
・こまめにフィルターを掃除する
・室外へ出ているドレンホースが詰まっていないか、きちんと排水されているかをチェックする
・ドレンホースが紫外線劣化している場合は、交換する。(紫外線劣化すると、ホースが固くなり少し触れただけでパリパリと割れてしまいます。ドレンホースの寿命は3〜5年といわれています。)
●トイレ
・一度に大量のトイレットペーパーを流さない
・清掃用のシートや猫砂などのトイレに流せる製品も大量に流すと詰まる恐れがあり、注意する
・掃除の際に部品の劣化をチェックする
●洗濯機
・防水パンを設置する
・洗濯機の規定量を守り、一度に大量の洗濯物を洗わない
・給排水ホースや繋ぎ目から水が漏れていないか定期的にチェックする
・糸くずフィルターの設置や清掃を行い、スムーズな排水を確認する
●浴室、洗面台
・排水溝に石鹸かすや髪の毛などが溜まらないよう、こまめに清掃する
・シャワーヘッドなどのつなぎ目やパッキンから水が漏れていないかチェックする
・手動でお湯張りをする場合はタイマーなどを使い、止め忘れに注意する
・洗面台の下は整理整頓し、普段から排水管をチェックしやすいようにしておく
●キッチン
・詰まりの原因となる油や生ゴミなどを流さないようにする
・排水管を傷めてしまうため60度以上の液体を流さない
・日頃からシンク下の整理整頓をしておき、排水管をチェックしやすいようにする
・排水横引管は勾配が緩やかで流れがゆっくりのため、汚れや固まった油などが詰まりやすいことに注意する
●ベランダ
・排水溝をこまめに掃除する
・雨や台風、強風で飛ばされた葉っぱや砂などが排水溝を塞いでいないか確認をする
・ベランダに植物を多く置いている場合は、特にこまめに掃除し、泥や葉が溜まらないようにする。
☆こちらもお読みください
⇒マンション共用部の悩み 雨水の水はけ問題とは
⇒どうなる修理費の負担。マンションにおける責任分界点とは?
<管理組合による対策>
・定期的に全住戸で一斉に排水管の高圧洗浄を行う
・共用部分の検査やメンテナンスを定期的に実施する
・水漏れが頻発するなど、給排水管全体の老朽化の傾向があれば、配管の更生や更新の検討をする
水漏れを防ぐには、日常的な清掃が大切です。また、排水器具の周辺は整理整頓を心掛けておくと定期的なチェックをしやすくなるためおすすめです。
水漏れを起こしてしまった場合の対処法
水漏れが突然起こると慌ててしまうかもしれません。
給水側が原因だとわかっている場合は、まず応急処置として元栓や止水栓を閉め、その後で落ち着いて対処をしましょう。トイレや洗濯機は壁や床から出ている給水管の止水栓を、台所はシンク下の止水栓を確認してみましょう。また、どこから水漏れしているのかわからない、止水栓がわからない場合は、水道のメーターボックス付近にある元栓を止めましょう。
排水側が原因の場合は、それ以上同じ場所に水を流さないよう排水器具を止め、漏れた水を拭き取るなどの応急処置をし、管理会社に連絡をします。水漏れが起きていなくても、万が一に備えてあらかじめ連絡先を確認しておくことをおすすめします。
水道代が急にいつもより増えた、天井にシミを見つけたなど水漏れの兆候が見られたら、すぐに管理会社に相談することが重要です。早期に対処すれば簡単な補修工事だけで済むはずが、対応が遅れたために複数の世帯を巻き込んだトラブルに発展する可能性もあり得ることです。
また、万が一の事態に備え「水濡れ」を補償する火災保険だけでなく、下の階への損害賠償の補償が対象となる個人賠償責任保険に入っておくことも検討してみてはいかがでしょうか。
キッチン、トイレ、お風呂など、日常生活を送る上で水を使うことは避けられません。水を使う以上は大なり小なり「水漏れのリスク」があることを忘れずに、定期的な清掃とチェックをして、水漏れを起こさないようにしましょう。
■あわせてお読みください。
・タワーマンションの排水管更新工事に挑む!〜ザ・シーン徳川園〜 前編
・マンションにおける異臭・臭いのトラブル、どう対処する?
・大規模修繕工事終了!ベランダのお手入れ方法は??床編?
・台風の季節到来!マンションでの対策は大丈夫?
■この記事のライター
大塚 麻里絵
建装工業株式会社 MR業務推進部所属
埼玉県出身 東京理科大学理工学部建築学科卒業
一級建築士・一級建築施工管理技士を有し、大規模修繕工事現場にも従事した経験のある女性技術者・ライター
※建装工業株式会社公式HPはこちら
(2023年2月27日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。