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大規模修繕工事終了!ベランダのお手入れ方法は?〜床編〜

マンション ベランダ
例年6月から7月になると、マンションの規模にもよりますが、年明けから始まった大規模修繕工事が終わりを迎えてきます。
長かった工事が終わり、外壁やベランダの床をきれいな状態で長く維持したいと思う方も多いのではないでしょうか。

今回は、マンションのベランダをきれいに保つための、正しいお手入れ方法についてご紹介していきます。
後編は床編です。

参考:大規模修繕工事終了!ベランダのお手入れ方法は?〜外壁編〜

目次
1. 床はどんな仕上げになっている?
2. 床仕上げの種類別のお手入れ方法
3. 床のお手入れでしてはいけないことは?
4. 正しくお手入れして、ずっときれいなベランダに

1. 床はどんな仕上げになっている?

マンション床の仕上げは、外壁の仕上げの種類よりももう少し複雑になっています。コンクリートやモルタルによる仕上げ、ウレタン塗膜防水、塩ビシートを貼った仕上げ、更に30cm角のタイルを敷いたものなどがあります。防水層が仕上げにもなって表面に出ているものと、防水層の上に塩ビシートやパネルを敷いて仕上げているものがあります。

外壁と同様にベランダ床もマンションの共用部であり、傷付けたり他の居住者の迷惑になるようなことはできません。具体的な禁止事項については、お住まいのマンションの管理規約をよく確認してみましょう。

2. 床仕上げの種類別のお手入れ方法

まずは、ご自宅のベランダ床がどのようになっているのか、確認してみましょう。
まだ大規模修繕工事を実施したことのないマンションでは、コンクリートやモルタルで仕上げられていることがありますが、1度大規模修繕工事を実施すると、次のいずれかになることが多いでしょう。

① ウレタン塗膜防水
マンション ベランダ

施工が完了したバルコニーのウレタン塗膜防水

グレー色のゴム状の防水です。粘度の高い液体を流したり塗ったりして、膜をつくることで防水しています。
この防水層に保護用の材料を塗布するところまで含めて、ひとつの防水工事となっています。ゴム状の柔らかい材料なので、物を落としたり引きずったりすると傷が付いてしまいます。
少し重い物を置く時には、マットなどの緩衝材を挟むと良いでしょう。汚れが付いた時には、中性洗剤とスポンジなどの柔らかいものでこすりましょう。

② 塩ビシート敷き
マンション ベランダ

施工完成間近のバルコニー長尺塩ビシート敷き仕上げ
(一段上がった部分はウレタン塗膜防水)

塩ビシートとは、塩化ビニル樹脂を原料としたシートの総称です。ベランダの床には、このうちの屋外用のものが使用されます。規則的な凹凸が柄になって施されたものが一般的で、美観が良いことやメンテナンスがしやすいことが特徴です。

重い物の落下やひきずりで傷はつきますが、ウレタン塗膜防水よりも丈夫でたわしやデッキブラシは使用できます。日常のお手入れは、掃き掃除や汚れた部分を中性洗剤で清掃する方法で問題ありません。詳しい清掃方法は、シートの各メーカーから案内が出されていることが多いので、大規模修繕工事を施工した会社やマンション理事会に確認してみましょう。
お手入れ方法の例
丈夫で掃除もしやすい材料ですが、土や油が長時間ついたままになっていると、汚れは落ちにくくなってしまいます。早めのお掃除をお勧めします。
なお、塩ビシートが敷かれたベランダも、巾木や水の流れる側溝の部分はウレタン塗膜防水仕上げになります。お手入れ方法は①と同じです。

③ パネル敷き仕上げ
マンション ベランダ

施工が完了したルーフバルコニーのパネル敷き仕上げ
(パネルの下は全面塩ビシート防水)

①や②、その他の防水層の上に、30cm角の樹脂製や木製のパネルを敷いている場合です。
マンション新築時に既に敷いてある場合と、お住まいの方がDIYをして敷く場合があります。いずれにしても、敷いてあるパネルのメーカーが推奨する方法でお手入れするのがいいでしょう。日常的には掃き掃除や水ぶきを、特別なお手入れとしては外して水や洗剤で洗うということになります。
マンションの規約上、大量の水が流せないという場合には、外してからその下を掃き掃除や水ぶきすることになりますが、面積が広い場合にはなかなか大変です。DIYでパネルを敷く時には、お手入れ方法についても考えておきましょう。

3. 床のお手入れでしてはいけないことは?

外壁のお手入れと同様に、テレビCMなどで見かける高圧洗浄は、使用しない方がベターです。集合住宅であるマンションでは、大量の排水や騒音・振動が近隣に迷惑を掛けてしまいます。また、焦げや変形に繋がり補修も個人では行えないので、タバコなどの火気も厳禁です。具体的な禁止事項については、お住まいのマンションの管理規約をよく確認してみましょう。
仕上げの種類別には、次のことに気を付けてお手入れをしてください。
① ウレタン塗膜防水
柔らかい材料なので、たわしやデッキブラシは、表面の保護層を傷付けてしまうことがあるので、使わないようにしましょう。また、防水材を溶かしてしまうシンナーやアルコールは使うことができません。
② 塩ビシート敷き
丈夫な材料ですが、シンナーやアルコールは変色につながるので使うことができません。また、カッター等で切れてしまうので、丈夫だからと言ってもカッターを使用するような作業を行う時には、床をきちんと保護しましょう。

③ パネル敷き仕上げ
マンション ベランダ

ウッドデッキ下の側溝部分に溜まってしまった泥

パネルの下に大量の泥を溜めたままにしないようにしましょう。マンションのベランダに施される防水層は、プールのように水を溜めておくためのものではないので、常に湿った状態というのは防水層を傷めてしまうことがあります。パネルの下に泥が溜まると、雨水を吸いなかなか乾きません。パネルの上で泥をこぼしてしまった時は、パネルの下に入り込んでしまった泥も、パネルを取り外して取り除いた方が良いでしょう。

4. 正しくお手入れして、ずっときれいなベランダに

ベランダの防水工事は、劣化があまり進んでいない場合には、大規模修繕工事を行ったとしてもはじめから施工対象とされないことがあります。これは、工事の計画の段階で決める事項です。特に塩ビシート敷き仕上げとなったベランダでは、シート部分は清掃のみとされるケースが多いです。
1回目の大規模修繕工事で、塩ビシートを貼り替えないとすると、次回の大規模修繕工事は十数年後なので、新築当時から数えて20年以上は同じ塩ビシートを使い続ける事になります。
ベランダの床をきれいな状態で使い続けるためには、日々のこまめなお手入れが欠かせません。
掃き掃除はもちろんのこと、汚れを見つけたら早いうちに落としてしまうのが、長くきれいに使い続けるポイントと言えます。

《この記事のライター》
大塚 麻里絵
建装工業株式会社 MR業務推進部所属
埼玉県出身 東京理科大学理工学部建築学科卒業
一級建築士・一級建築施工管理技士を有し、大規模修繕工事現場にも従事した経験のある女性技術者・ライター

(2020年8月3日記事更新)

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