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マンションにおける異臭・臭いのトラブル、どう対処する?
マンションで異臭・悪臭が発生した場合、どう対処すればいいのでしょうか?
異臭・悪臭は不快かつ生活環境を損なうもので、すみやかに解決したい問題です。しかし、出所が特定しづらいことなどから、マンションにおける臭いのトラブルは意外とやっかいです。今回はマンションでの臭いのトラブルとその対処法についてご紹介します。
目次
1. マンションで発生する主な臭いの原因
2. マンションで異臭が発生したときの相談先は
3. 異臭トラブルはどう対処すればいいのか
1. マンションで発生する主な臭いの原因
まず、マンションでの臭いのトラブルではじめに認識しておきたいのが、臭いの出所の特定が非常に難しいということです。「隣の部屋から悪臭がする」と決めつけていたら、実際には斜め下の部屋が臭いの発生源だった、というようなことも十分あり得ます。その場合、勘違いで別のトラブルの原因に発展してしまう可能性もありますので、慎重に行動する必要があります。
また、ひと口に異臭・悪臭といっても、発生源によって臭いの種類が違います。マンションで発生しやすい臭いと、考えられる原因や場所をまとめると次のようになります。
・下水臭:下水のような臭いは、住戸内の浴室、トイレ、キッチンなどの水回り、また共用部分にあたる排水管などの排水設備に水や汚物がたまることで発生します。
・生ゴミ・腐敗臭:住戸内でのゴミのため込み、共用のゴミ置き場の掃除が不十分、ゴミ置き場や敷地内に放置されているゴミがあるなどによって発生します。
・隣人の生活臭:隣の住戸から嫌な臭いが漂ってくる場合、タバコ、ペットの体臭や排泄物、ゴミをため込んでいる、水回りの掃除が不十分などの可能性があります。
・その他:特定の人物による嫌がらせ、マンション外部からの臭い
これらのうち、特に原因や場所を特定するのがむずかしいのが下水臭です。自宅の浴室やトイレなど水回りの掃除をしても改善しなければ、排水管などの不具合が原因かもしれません。管理会社に原因の調査を依頼した結果、発生源が排水管であれば、共用部分にあたるので修繕には総会の決議が必要になることもあります。そうならないように、排水設備の定期的な点検やメンテナンスはしっかり行っておくべきです。
※排水設備系統のメンテナンスなどについては、下記の記事もご参照ください。
⇒タワーマンションの排水管更新工事に挑む!〜ザ・シーン徳川園〜 前編
⇒マンション共用部の悩み 雨水の水はけ問題とは
また、生活臭の出所もすぐに特定できるとは限りません。例えば、タバコの臭いは、換気扇の近くやバルコニーで吸っていると、ダクトやバルコニー伝いに意外な場所に流れていくことがあるからです。先述のとおり、生活臭の発生場所は印象とは異なる場合もあり、マンション住民どうしで直接悪臭の苦情を告げたりすると却ってトラブルになりかねません。
2. マンションで異臭が発生したときの相談先は
生活臭に限らず、住民間の不用なトラブルを避けるためにも、マンションの異臭・悪臭については、まず管理会社や管理組合の理事会に相談しましょう。臭いの問題があることを認識してもらい、住民全体への注意喚起をしてもらいましょう。それで改善されない場合は、管理会社もしくは管理組合が主体となって調査し、原因・場所を特定した上で、該当者に対策をとるよう通知してもらえるとベストです。しかし、管理会社や理事会がそこまで行動してくれない場合や、行動しても改善が見られない場合には各市区町村の生活課(部課名は自治体により異なります)に相談する選択肢もあります。とはいえ、自治体によって対応の範囲が異なり、住民どうしのトラブルには対応しないという場合や、対応はしても、直接介入せず、あくまで助言程度ということが多いようです。各自治体の対応は相談してみないとわかりませんが、困っている内容を客観的かつ法的な視点で整理できるという点で、相談してみる価値はあるでしょう。
「嫌がらせ目的で臭いを発生させている」、「臭いがする住戸の住人と連絡が取れない」といったように事件性のある場合は警察に相談できます。ただし、警察は基本的に民事不介入なので、事件性のあるケース以外では介入は期待できません。
3. 異臭トラブルはどう対処すればいいのか
臭いの感じ方は個人差があることからも、マンションでの臭いのトラブルは解決するのがむずかしいものです。何をやっても改善がみられない場合は弁護士やマンション管理士への相談も考えられます。こうした専門家を交えても解決しない場合は、裁判による解決を目指す可能性も出てきます。
区分所有法により、分譲マンションの区分所有者は共同の利益に反する行為をしてはならず、臭いを発生させている行為がこれに該当する場合は、行為停止と予防措置、区分所有権の競売、専有部分の引き渡しなどを請求できます。ただし、裁判などでこうした請求が認められるには、その臭いが受忍限度を超えていることを証明しなければなりません。
受忍限度とは、社会生活をする上で被害の度合いが我慢できるとされる範囲のことです。トラブルとなっている臭いが受忍限度を超えているかを証明するには、正式な臭気判定が必要になります。過去には、あるマンションで猫の多頭飼いをしている住居からの臭いが他の住人の受忍限度を超えているとして、競売ならびに損害賠償請求が認められた判例がありました。
このように法的な解決を目指す場合は、弁護士に依頼することになりますが、臭いの原因と場所、臭気測定などの証拠が揃っていないと、裁判になっても勝てる見込みが低くなります。また、トラブルの相手にこちらの名前を知られてしまいます。法的な見解を得るために弁護士に相談するのは有効ですが、どの段階で代理人として表立って活動してもらうか慎重に見極めることが大切です。
マンション内でも臭いの出所が事業者である場合や、マンション外部からの臭いの場合は、都道府県や市区町村の「公害苦情相談窓口」に相談しましょう。こちらの窓口相談で解決がむずかしいときは、裁判よりも費用や時間の負担が少ない裁判外紛争処理手続(ADR)にあたる「公害紛争処理」制度も利用できます。
マンションで臭いのトラブルが続けば、生活環境が悪化し資産価値の低下にもつながります。そうした事態を避けるためにも、異臭・悪臭に気づいたら、なるべく早めに管理会社や管理組合に相談することをおすすめします。
■あわせてお読みください。
・タワーマンションの排水管更新工事に挑む!〜ザ・シーン徳川園〜 前編
・タワーマンションの排水管更新工事に挑む!〜ザ・シーン徳川園〜 後編
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