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のぞいてみよう!工事現場紹介 パシフィックヒルタウンSAPPORO大規模修繕工事
右側が現場所長の三澤さん。左側が現場担当の川口さん。
施工中のマンションの工事現場を詳しく紹介するシリーズです。今回は、北海道札幌市にあるマンション「パシフィックヒルタウンSAPPORO」の工事現場に伺い、インタビューを行いました。
今回取材したマンション「パシフィックヒルタウンSAPPORO」は、おおよそ標高150メートルから200メートルの比較的小高い場所に佇む、都市の利便性と緑豊かな自然環境の両方が調和した好立地に建つマンションです。周囲の自然豊かで壮観な景色を望むことができる恵まれた環境であり、隣接する「月寒公園」という北海道では比較的有名な公園は、広大な敷地で四季折々の景色を楽しむことができます。また、札幌市内の中心部や主要な交通施設にもアクセスしやすいことから利便性も高い立地環境です。
今回は、都市の利便性と緑豊かな自然環境が調和した好立地に建つ「パシフィックヒルタウンSAPPORO」の大規模修繕工事現場で所長を務める三澤さんと、女性代理人の川口さんのお二人にお話しを伺いました。
目次
1. 本現場の基本状況
2. 自己紹介
3. 今回の工事の特徴を教えてください。
4. 今回の工事現場で工夫していることなどを教えてください。
5. 竣工への意気込みをお聞かせください。
6. おわりに
「パシフィックヒルタウンSAPPORO」の外観
1. 本現場の基本状況
工事名称 | パシフィックヒルタウンSAPPORO大規模修繕工事 |
建物規模 | RC造 地上15階建て 4棟 住戸数286戸 |
建物所在地 | 北海道札幌市豊平区平岸 |
建物竣工年 | 1985年12月 |
工事期間 | 2023年 4月 3日〜2023年 11月30日(現在工事中) |
工事内容 | 躯体等下地補修工事、シーリング工事、外壁等塗装工事、鉄部塗装工事、屋上等防水工事、バルコニー床廻り防水工事、内部階段床材張替工事等 |
取材日 | 2023年6月27日 |
話を聞いた人 | 三澤さん(現場所長)、川口さん(現場担当) |
2. 自己紹介
三澤さんは3回目のKENSO Magazineの取材ですね。いつも取材へのご協力ありがとうございます。まずは、現場所長の三澤さんから自己紹介をお願いします。
三澤さん:現場所長を務めている三澤です。私はいつも申し上げているのですが、「安全で、明るく元気な仕事ができる現場運営」を信条としています。
大規模修繕工事の期間中は、居住者の方々にとってさまざまな環境の変化によるストレスが生じます。足場が建ち、窓からの風景が変わり、作業に伴う音が発生し、多くの作業員さんが出入りするなどです。そのため、私は居住者の皆様とお会いする際には、少しでもそのストレスを緩和できるように努めています。居住者の方々が安心して過ごせるように、いつも明るく元気な対応を心がけています。
現場所長の三澤さんの心情は「明るく元気な仕事ができる現場運営」
川口さんは、入社してから3年目ですね。現在の心境なども交えて自己紹介をしていただければと思います。
川口さん:川口です。私は現場担当として従事しています。私は学生時代に建築の意匠デザインを学び、その中で建築の外観デザインやランドスケープに興味を持ちました。特にマンションは街の中でも視覚的に大きな面積を占めているので、その街の景観に大きな影響を与える建築物だと思っています。ですからそのマンションの改修は街の美しさを作り上げる重要な仕事だと感じています。
今回は現場所長の補佐をする役割を担っていますが、北海道支店では4年目からは独り立ちすることが目標とされています。つまり、次回からは現場所長を任される予定です。現場所長を任されることはうれしい反面、正直なところ不安もあります。現在の現場では、自分が現場所長になった時にも仕事の品質を確保できるようにイメージしながら取り組んでいます。
3年間の現場担当としての経験から、現場を見るポイントなどを把握することができるようになりました。現場がうまく運営されるのは、作業員さんがしっかりと仕事をしてくれるからだということを実感しています。そのため、作業員さんとのコミュニケーションを十分に取ることが、良い現場環境を作り上げる上で最も重要なことだと考えています。
入社3年目の女性現場担当、川口さんは来年から独り立ちの予定
3. 今回の工事現場の特徴を教えてください。
川口さん:パシフィックヒルタウンSAPPOROは、都市の利便性と自然環境を調和させた好立地に建つマンションです。標高150メートルから200メートルほどの比較的小高い場所に佇み、周囲の自然豊かな景色を望むことができます。特に「月寒公園」という有名な公園は広大な敷地で四季折々の風景を楽しむことができます。また、札幌市内の中心部や主要な交通施設へのアクセスも便利です。
A棟・B棟・C棟の3つの棟から成り立ち、合計286戸の大型マンションです。2回目の大規模修繕工事となる今回は、建物のカラーデザインを一新し、現在の単色から4色に変更する計画です。工事完了後には、街の景色と調和しつつ、やさしく、温かみのある外観に更新することをコンセプトとしています。
右側が現場所長の三澤さん。左側が現場担当の川口さん。
4. 今回の工事現場で工夫していることなどを教えてください。
三澤さん:足場の仮設計画は工夫しました。このマンションが小高い丘の上に建設されていることから、敷地が高さ方向に立体的な形状をしていました。したがって、通常の「手組み」と呼ばれる工法では、仮設足場の資材搬入に困難が予想されました。そこで、現地の状況や建物の形状を考慮し、大型クレーンを使用した足場の「大組み」という方法を提案し、採用していただきました。
結果として、通常予測される1ヵ月程度かかるとされていた足場組立期間を約1週間で完了することができました。足場の組み立ては、騒音や駐車場内の車両の移動や歩行など、ストレスの要因になりやすい工程です。そのため、期間を短くすることができたのは非常に良かったです。
計画委員会との擦り合わせのために作成した色彩イメージ
実際の改修後の外観
川口さん:今回の工事の最大の特徴は外壁の色を1色から4色に塗り分けることです。居住者が作成した複数のカラーシミュレーション画像をもとに、住民投票で色の選定が行われました。このマンションは自然に囲まれた丘の上に建っているため、自然と調和した素敵なデザインが選ばれて良かったと感じています。茶色の同系色を使い、下部を濃く、上部を淡くすることで、色の重心を活かした安定感のあるデザインになっています。
私たちの仕事は、1枚のCGイメージ画像をもとに実際の形にしていく作業です。実際の塗料を使用して4色のサンプルを作成し、計画委員会の承認を得ました。
CGイメージ画像では表現しきれない細部の色仕様についても、細かく決める必要があります。例えば、バルコニーの住戸側の色や、色が変わる境界線の位置などです。
私たちは、何よりも居住者の皆様に納得していただける結果を目指していました。そのため、バルコニーの裏側やバルコニーの天井面(上裏)など、細部の写真を多数撮影し、変更後の色を着色して視覚的に提案しました。そうすることで、管理組合の皆様がイメージしやすくなるように工夫しながら説明し、承認をいただきました。
5. 竣工への意気込みをお聞かせください。
三澤さん:今回の改修工事では、外壁塗装色が4色を用いる点が最大の特徴です。塗装作業時においては、作業員さんと十分なコミュニケーションと我々現場管理者の点検確認が重要と考えています。竣工後に居住者の方々に良かったとご満足していただける工事を進められるよう努めます。
一方、工事完了してマンションが美しくなったとしても、事故が発生してしまえば良い仕事とは言えません。無事故・無災害の継続のために安全第一で良い現場運営を進めていきます。
現場の敷地内にある食べごろのサクランボの実。
6. おわりに(ライターより)
今回は、北海道のマンション改修の現場をご紹介しました。この工事は2023年4月に始まったのですが、着工当時は花弁だけだった桜の木に、とてもおいしそうなサクランボが実っていました。居住者の皆様が毎年サクランボ狩りを楽しむとのことでした。竣工後、足場がとれたときには、自然豊かな小高い丘の上に建つこのマンションが、地域の景観になじむデザインとなることを楽しみにしています。
私たち建装工業では、今後もより質の高い工事を通じて、お客様に安心、安全、快適なサービスを提供できるように努力してまいります。
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■この記事のライター
熊谷 皇
国立大学法人 鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。建築環境工学(温熱環境、省エネ等)を専門とする技術者。国土交通省 住宅の省エネ基準検討WGの委員、建築環境省エネルギー機構(IBEC)・日本建築センター(BCJ)・職業能力開発総合大学校等の講習会講師、日本建築ドローン協会(JADA)のWG等の委員を歴任。
(2023年9月4日新規掲載)
*本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。