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のぞいてみよう! 工事現場紹介 〜パークハウス仙台五橋タワー大規模修繕工事
パークハウス仙台五橋タワーの外観
現在、建装工業が施工中のマンションの工事現場を取材するシリーズです。今回は、宮城県仙台市にあるタワーマンションの工事現場を取材しました。
こんな方におすすめ
● これから大規模修繕工事を計画するマンションにお住まいの方
● まさに大規模修繕工事中のマンションにお住まいの方
● これからマンションリニューアル関係の企業で働きたい方
目次
1. 工事現場の概要
2. はじめに自己紹介をお願いします
3. 今回の工事現場の特徴を教えてください
4. 今回の工事現場で工夫していることを教えてください
5. 今回の工事現場で苦労していることを教えてください
6. 竣工への意気込みをお聞かせください
7. 最後に
工事現場の概要
建物名称 | パークハウス仙台五橋タワー |
建物属性 | 構造:RC造、階数:地上23階・地下:1階、戸数:127戸 |
所在地 | 宮城県仙台市青葉区五橋1丁目1-50 |
竣工年 | 2007年12月 |
工事種類 | 大規模修繕工事 |
工事内容 | タイル補修、下地補修、壁面塗装、鉄部塗装、防水工事等 |
工事期間 | 2022年8月17日〜2023年3月31日 |
取材日 | 2022年10月5日 |
話を聞いた人 | 成田さん(現場所長)、相澤さん(現場担当者) |
はじめに自己紹介をお願いします
成田さん(現場所長):今回の工事で現場所長を務めている成田です。私がタワーマンションの大規模修繕工事を担当するのは今回で4回目になります。実は東北支店で初めて手掛けたタワーマンションも私が現場担当で従事させていただきました。工事現場では事故により信頼が失われない様、「自分の目で確かめる」ということを常に意識して、何事にも安全第一を心がけて取り組んでいます。
相澤さん(現場担当者):現場担当の相澤です。私は入社2年目ですがタワーマンション大規模修繕工事担当は早くも2回目です。タワーマンションは作業中の落下物が大きな事故に繋がる恐れがあります。ですから「工事中にはネジ1つも落とさない」をモットーに日々徹底した安全管理を心がけています。
パークハウス仙台五橋タワーの現場スタッフのみなさん
(左から成田さん、相澤さん)
今回の工事現場の特徴を教えてください
成田さん(現場所長):パークハウス仙台五橋タワーは、安全性・耐久性に優れたタワーマンションです。そもそも建築の地盤は極めて強く、建設地のN値(地盤の強さを表す指標)※ は120(kN/m²)以上で、建物には免震装置が装備されています。JR仙台駅から徒歩7分と便利な立地で、近隣には七十七銀行や河北新報といった歴史のある企業の本店や総合病院がありつつ、緑豊かな五橋公園も近いという、大変好立地に建築されています。
このような好立地であることもあり、人通り、車通りも多く、多くのみなさまが目にする機会が多い工事でもあります。一層襟を正して、品質の高い工事を行い、居住者にも周囲の方にも評価していただけるようしっかり取り組みたいと思います。
※N値:地盤の強さを表す指標。N値が大きいほど硬くて強い地盤でN値が小さいほど柔らかくて弱い地盤です。N値が50(kN/m²)以上の数値であれば、大型建造物の建造に耐えられる、非常に強固な地盤と判断されます。
今回の工事現場で工夫していることを教えてください
成田さん(現場所長):今回の工事現場はタワーマンションということもあり、足場には全面仮設ゴンドラを採用しました。ゴンドラに乗り込む方法は、屋上から乗り込む方法と中間階(13階)から乗り込む方法の2種類を設計しました。屋上から乗り込む場合は専用タラップにより安全性を確保しました。一方、中間階(13階)からゴンドラに乗り込む場合は、マンション共用部から作業床への乗り入れ作業を効率化するために、十分広い開口部を設置しました。
そのほか、従来の工事では洗濯物情報や工事情報をお知らせするために居住者に大量の紙による広告を配布してきましたが、本現場では居住者専用のWEBやTVにより配信することで、ペーパーレス化を図りました。これにより工事情報の確認時に都度、エントランスに行く必要がなくなるので、居住者の負担軽減にも繋がります。
また、外部広告として、仮囲いに少々趣向をこらしたタッチパネルのサイネージを設置しました。サイネージには工事情報はもちろんのこと、近隣の方や通学する子どもたちも親しんで見ていただけるように占いなどの情報も追加しました。
さらにゴンドラ作業は、特に天候に左右されやすいので、屋上にはクラウド機能を持った気象観測計を設置し、現場事務所内で常に風速や温・湿度などを確認しています。
WEB、TVを使用した情報提供
タッチパネルの外部広告
タッチパネルを操作する小学生
相澤さん(現場担当者):作業員のマンション内入退場管理システムには、単に入退場管理にとどまらず、体温測定、マスク着用の点検機能が搭載された高性能入退館管理システム「Face Pass Cam」※ を搭載し、工事中の防犯対策や新型コロナウイルス対策に配慮しました。
※検温機能付き顔認証入退館システム(ダックビル社製)
その他、下地調査・各所検査にはiPadを活用して業務効率化を図りました。また、事前にバルコニーの施工完了後のモックアップ(実物大の施工完成後の模型)を作成することで、施工者の施工精度・品質の均一化を図るなど様々な工夫を凝らしました。
高性能入退館管理システム「Face Pass Cam」を用いた入退場の様子
今回の工事現場で苦労していることを教えてください
成田さん(現場所長):屋上の塔屋の壁面に付属されたルーバー胴縁の塗装作業では、ルーバーの撤去作業時に非常に小さいボルトを取り外すのには苦労しました。ボルトの撤去は手作業となるのですが設置個所が約1500箇所もあり、それを高所作業で行わなければならないという状況でした。とにかくどんなことがあってもボルトを絶対に落下させないために10人がかりでの人海戦術を立案しました。結果は、無事にボルトを一つも落とすことなく、完了することができました。さまざまなことがデジタル化で作業を効率化していますが、建築の工事現場ではどうしても人の手で行わなければならない作業が要であることも改めて実感しました。
他にもゴンドラによる作業では特に天候に応じた工事計画を見直すことも注意が必要です。この現場では、ゴンドラを設置してわずか1週間後に、台風が接近し、台風養生の為、施工を一時中断しました。今後も天候や風速などの気象状況に細かく気を払い、早めの対応を心掛けて、安全第一で取り組んでいきたいと思います。
iPadを持ちタイルの接着状況を点検する相澤さん
竣工への意気込みをお聞かせください
成田さん(現場所長):中心部で通行人も多い工事の為、第3者災害はもちろん、とにかく無事故、無災害で工事を終える事を念頭に、工期内での完工を目指していきます。引渡しの際に、お客様から弊社で良かったと喜んでもらえるような仕事をしていきたいと思います。
取材時の様子。左から相澤さん、成田さん
最後に(ライターより)
今回は、宮城県仙台市にあるタワーマンションの現場を取材させていただきました。タワーマンション工事にふさわしく、居住者広告、外部広告、点検業務等や様々な点でデジタルを最大限に有効活用して、作業を効率化していることがよくわかりました。一方、どんなにデジタル化が進んでも、建築工事現場では、どうしても人の手で行わなければならない作業は必ず残ります。そのような時の手作業も一つひとつ丁寧に行うことが大切であることを改めて感じました。また、入社2年目の現場担当、相澤さんの「工事中にはネジ1つも落とさない」という言葉が印象的でした。
建装工業ではこれまで100件以上のタワーマンションの改修工事を行ってまいりました。これまでの経験から学んだことを活かして、これからもより質の高い工事を行えるよう努めて参ります。
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■この記事のライター
熊谷 皇
建装工業株式会社 MR業務推進部所属
千葉県出身。鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境(温熱環境性能、住宅の省エネ性評価等)。住宅の省エネ基準検討WGの委員、建築環境省エネルギー機構・日本建築センター・職業能力開発総合大学校等の講習会講師の経験を持つ技術者。ライター。
※建装工業株式会社公式HPはこちら
(2022年12月5日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。