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マンションでもできる動物福祉。保護犬、パピーウォーカーとは?
動物愛護の意識が高まる中、近年では、保護犬や保護猫、盲導犬など、動物愛護や動物福祉の視点からペットを迎え入れる人も増えています。
今回は、マンションでペットを飼うときの注意事項や保護動物などの里親になるための条件などについてご紹介します。マンション住民でありながら、動物福祉に貢献したいと考える方は、ぜひご一読ください。
目次
1. 動物のためにできること 保護犬、保護猫、保護鳥の里親って何?
2. 補助犬支援 パピーウォーカー、キャリアチェンジ犬、引退犬とは?
3. マンションで動物支援 ペットを飼う条件に加えて必要な「保護動物の里親になる条件」
動物のためにできること 保護犬、保護猫、保護鳥の里親って何?
動物愛護センターや保健所などで保護されたペットは、2022年度だけでも約53000頭にものぼります。その多くは犬や猫ですが、鳥やウサギ、爬虫類なども含まれます。
保護された動物は以下の3つのうち、いずれかの方法で処理されます。
・返還:脱走など迷子となったペットが元の飼い主のもとへ戻される
・譲渡:里親制度によって新しい飼い主のもとへ譲渡される
・殺処分:引き取り手が見つからないなどで、自治体の条例に従い殺処分される
里親制度は、家庭の事情や飼い主の死亡、病気などにより保護されたペットを新しい飼い主に譲渡するものです。しかし、里親になるためには「環境(動物を迎え入れる適正な環境か)」、「能力(生涯飼育が可能か)」など厳格に審査されます。そのため、誰でも里親になれるわけではありません。
●自治体(保健所、動物愛護センター)
ほとんどの自治体では、譲渡前の事前講習会への参加が義務付けられています。一部の自治体では、事前講習会の参加後に個人面接を受ける場合もあります。面接では、希望する条件などを登録し、面会や審査などを経てトライアル(試し飼い)や契約へと進みます。
●譲渡会(里親会)
ボランティア団体主催の譲渡会は、全国各地で開催されています。参加するには審査を申し込み、審査が通過すると約1週間のトライアル期間が設けられ、トライアルが終了し問題がなければ契約書が交わされ譲渡が行われます。
譲渡の際には、予防接種代や不妊・去勢手術代、マイクロチップの埋め込み代などの費用を負担する必要があります。
●カフェ併設型
保護猫が在籍する譲渡型の猫カフェでは、お気に入りの猫がいれば、審査とトライアルを経て、問題がなければ里親として迎えることができます。
動物愛護管理法改正以降、自治体は安易な持ち込みや殺処分を減らすため、ボランティアと連携し、里親制度を推進してきました。また、SDGsの普及などにより動物愛護への関心が高まり、犬猫の譲渡数は年々増加しています。横浜市、奈良市、札幌市などは殺処分ゼロ(収容中の死亡など除く)を実現し、その取り組みが成功を収めています。
※出典:「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」(環境省)
補助犬支援 パピーウォーカー、キャリアチェンジ犬、引退犬とは?
保護動物の里親以外でも、動物福祉に貢献する方法の一つとして補助犬ボランティアがあります。
補助犬とは、盲導犬・介助犬・聴導犬を含む訓練された犬の総称で、訓練所に入る前や引退後などはボランティアの家庭で飼育されます。
●パピーウォーカー
パピーウォーカーは補助犬候補のパピー(子犬)を家族の一員として迎え、生後2か月から1歳前後までの約10か月間、人と一緒に安心して暮らすための関係づくりや、家庭でのルールを教えていくボランティアです。人に飛びつかない、お手やお座りなど、ほとんどの家庭犬がしている簡単なトレーニングで、補助犬として必要な、「人」への適応を促す大切な期間です。
●キャリアチェンジ犬
補助犬としてトレーニングを受けたものの、性格や特性が合わずに、役割を果たせない場合、キャリアチェンジ犬として別の道を歩むことになります。多くはボランティアの家庭で飼育されますが、新たな活動に参加することもあり、例えば盲導犬の普及推進活動で活躍するPR犬となるケースもあります。
●引退犬
役目を終えて引退した補助犬を指します。引退後は、一般の家庭犬と同様に穏やかな余生を過ごします。引退犬は、飼育を引き受けるボランティアや、パピーウォーカーの家に戻るケースもあります。
このような取り組みによって、子犬が補助犬候補へと育てられ、社会貢献を果たした後に穏やかな生活を送るという循環が成立しています。
興味がある方は、盲導犬協会や聴導犬協会などのウェブサイトをチェックしてみてください。
マンションで動物支援 ペットを飼う条件に加えて必要な「保護動物の里親になる条件」
マンションでペットを飼うためには、まずマンションがペットの飼育を認めていることが必要です。さらに、保護動物の里親や補助犬ボランティアになるためには、それぞれの条件や注意事項を把握する必要があります。
●保護動物の里親になる条件
譲渡を行う団体によって多少の差はありますが、主なものとして以下の条件があります。
・単身者や高齢者のみの家庭ではないこと
・乳幼児がいないこと
・居住管理規約の提出や講習会の受講
・保護動物を受け入れる環境確認(自宅訪問)ができること
・安定した収入があること
・家族全員が、動物に対するアレルギーを持っていないこと
・家族全員の同意があること
・室内飼育・迷子予防を行うこと
・不妊・去勢手術・予防接種を行うこと
●補助犬ボランティアになる条件
・屋内での飼育が可能なこと
・長時間、家を無人にしないこと
・自動車を所有していること
・大型犬を飼育できること
・引退犬を受け入れることを考慮していること
特に引退犬の場合、10歳を超えている犬を迎え入れることになります。そのため、病気やケガなどの治療費や看病などのリスクを事前に考慮することが重要です。
●マンションでペットを飼うための注意事項
マンションでペットを飼うには、管理規約の確認が必須です。
・管理規約でのペットの制限事項(数、サイズ、種類など)
・ペットクラブへの登録や写真提出の有無
・予防接種に関する取り決めや報告義務
・しつけや共用部分に関するルール
ペットの飼育は許可されていても、大型犬や爬虫類などを飼うことを禁止しているマンションもあります。必ず事前に管理組合に確認しましょう。
動物福祉が重視される昨今、自治体の動物愛護センターや保健所には、新しい家族を待つ多くの犬や猫がいます。
ここまでご紹介したような条件がありますが、その条件がクリアできれば、マンション住まいでも、保護動物の里親になることや、パピーウォーカーや引退犬の飼育など補助犬のボランティアとなることが可能です。
行き場のない動物や、これまで人間社会に貢献してきた動物を新しい家族として迎え入れることも選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。
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■この記事のライター
□熊谷皇(くまがいこう)
国立大学法人 鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境工学(温熱環境、省エネ等)。国土交通省 住宅の省エネ基準検討WGの委員、建築環境省エネルギー機構(IBEC)・日本建築センター(BCJ)・職業能力開発総合大学校等の講習会講師、日本建築ドローン協会(JADA)のWG等の委員を歴任。
(2024年4月1日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。