毎週月曜日更新

毎週月曜日更新

タグ一覧

国の補助金制度を上手に使ってお得に省エネリフォーム 光熱費を節約し、健康住宅に進化

省エネリフォーム 補助金

昨今、2050年カーボンニュートラルに向けた国策として住宅の省エネ化に対する補助事業が多く設置されています。なかでも国土交通省、環境省、経済産業省の3省連携による「住宅省エネ2024キャンペーン」は大変人気が高い補助事業です。
今回は、マンションに住みながら地球環境のために行える内窓(二重窓)のリフォームや高効率給湯設備の交換などについて、申請に必要な条件や、内窓(二重窓)を取り付けるメリットについてご紹介します。

目次
1. 住宅省エネ2024キャンペーンとは?
2. 窓の断熱改修と高効率給湯設備 リフォームのメリットは光熱費節約と健康的な生活?
3. 大規模修繕で窓断熱 マンション全体で環境問題に取り組む

住宅省エネ2024キャンペーンとは?

住宅省エネ2024キャンペーンとは、国交省、環境省、経産省が2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、住宅の省エネ化を推進するために行う4つの補助事業の総称です。

●子育てエコホーム支援事業
子育てエコホーム支援事業とは、子育て世代・若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援する事業です。
対象事業は以下の3点となります。

・注文住宅の新築
・新築分譲住宅の購入
・リフォーム

各々の対象事業に対して補助上限額が以下のように定められています。

「注文住宅の新築」「新築分譲住宅の購入」
長期優良住宅の認定を取得したものであれば原則として、1住戸につき100万円、ZEH水準住宅なら1住戸につき80万円の補助が受けられます。

「リフォーム」
・子育て世帯・若者夫婦世帯は、上限30万円/戸、その他の世帯は上限20万円/戸
・既存住宅を購入してリフォームする場合:上限60万円/戸
・長期優良リフォームを行う場合:子育て世帯・若者夫婦世帯は、上限45万円/戸、その他の世帯は、上限30万円/戸

このように子育て世帯と若者夫婦世帯への補助が手厚くなっています。
なお、詳しい内容につきましては、住宅の種類など条件によって補助金額の上限が異なるため、国のホームページでご確認ください。
子育てエコホーム支援事業(国土交通省)

●先進的窓リノベ2024事業
既存住宅における断熱性能の高い窓への改修に対する補助事業です。
最大200万円、対象工事費用の50%相当が還元されます。

一般的にマンションにおいては、玄関ドアや窓は共用部分の扱いとなり、区分所有者が個人の判断で交換することはできませんが、区分所有者の判断で設置可能な断熱改修工事として内窓(二重窓)の取り付けがあります。(マンションの管理規約について異なる場合があります。)

内窓(二重窓)のリフォームは人気が高く、2023年度のキャンペーンではサッシの納品が3ヵ月待ちになるほど需要がありました。
内窓(二重窓)の設置で補助事業の利用を検討している場合は、できるかぎり早めに発注できるよう準備することが必要です。

詳しい内容は国のホームページをご確認ください。
先進的窓リノベ2024事業(環境省)

●給湯省エネ2024事業
高効率給湯器の導入を支援する事業です。
補助額と上限額は以下のとおりです。

・ヒートポンプ給湯機 最大13万円/台
・ハイブリッド給湯機 最大15万円/台
・家庭用燃料電池 最大20万円/台

上記の導入と併せて、既存の設備(電気蓄熱暖房機と電気温水器)の撤去費用についても、1台あたり蓄熱暖房機なら10万円、電気温水器の場合は5万円が補助されます。

詳しい内容は国のホームページをご確認ください。
給湯省エネ2024事業(経済産業省)

●賃貸集合給湯省エネ2024事業
既存賃貸集合住宅(2戸以上)の賃貸経営を行うオーナーを対象に、小型の省エネ型給湯器導入を支援する事業です。従来型給湯器から「エコジョーズ」、または「エコフィール」への取り替えに対して、補助金(最大7万円/台)が支給されます。

詳しい内容は国のホームページをご確認ください。
賃貸集合給湯省エネ2024事業(経済産業省)

これらの4つのキャンペーンのうち、マンションの区分所有者として利用することが多いのは「内窓による窓の断熱工事」と「給湯器・家庭用燃料電池といった高効率給湯器への取替」になると思います。4事業とも、「2023年11月2日以降に着手し、申請した方」が対象となります。申請の受付期間は2024年12月31日までとなっていますが、受付期間内でも予算上限(100%)に達し次第終了となるので、お早目の申請をおすすめします。

詳しくは以下のホームページでご確認ください。
住宅省エネ2024キャンペーン

窓の断熱改修と高効率給湯設備 リフォームのメリットは光熱費節約と健康的な生活?

住宅の省エネ改修には、以下のようなメリットがあるといわれています。

・光熱費節約
・結露・カビの抑制
・喘息、アレルギー、心電図異常所見など健康リスクの低減
・医療費の削減

省エネ改修のメリットとして、断熱効果向上による光熱費の節約がありますが、内窓(二重窓)の設置などにより窓の断熱改修をすることで、住宅の劣化や健康被害リスクを高める結露やカビを抑制し、住宅の長寿命化だけでなく喘息やアレルギーといった健康リスクの低減に繋がるのもメリットです。
また、国土交通省の調査では、住宅の断熱改修で血圧が低下する傾向があるという研究結果も報告されており、また、家全体の暖かさが保たれることで42度以上の熱めの入浴が減り、入浴事故リスクが低減するという研究もあります。

省エネリフォーム 補助金

さらに産学共同で研究発表された資料によると、内窓(二重窓)の設置により30年間で約25万円の医療費削減(4人家族)につながるといった報告もあります。
このように省エネ住宅へのリフォームには、光熱費の節約、住宅の長寿命化、健康促進といった幅広いメリットがあるのです。
※参考:
省エネ住宅で節約できる年間の光熱費(国土交通省)
住宅内温熱環境と居住者の健康に関する研究(株式会社LIXIL・近畿大学)

大規模修繕で窓断熱 マンション全体で環境問題に取り組む

省エネリフォーム 補助金

一般的にマンションでは、管理組合が大規模修繕を計画します。今回ご紹介した補助事業などを利用して、マンション全体で省エネ改修を検討するのもおすすめです。補助事業が適用されれば、カバー工法という工法を用いて窓そのものを高断熱窓に交換できるほか、窓交換と同時であれば玄関ドア交換も補助の対象とすることが可能です。
窓や玄関ドアの交換には管理組合での合意が必要ですが、大規模修繕を利用しマンション全体でまとめて行えば、環境問題への寄与も大きなものになります。
環境に配慮された省エネ住宅はマンションの資産価値向上にもつながります。
大規模修繕は検討から修繕完了まで時間がかかるため、スケジュールには注意が必要です。
すでに大規模修繕で窓やドアの交換を検討している場合は、スケジュール的に補助事業が活用できるか確認してください。
こういったキャンペーンは毎年行われる可能性が高いので、次年度以降に向けて管理組合で意見を取りまとめておくこともおすすめです。

また、国以外に自治体の補助事業も併せて利用できる場合もあります。
自治体の支援制度については支援制度検索サイトもご確認ください。
地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(一般社団法人住宅リフォーム推進協議会)

窓やドアの断熱改修や高効率給湯器の交換は、結露の抑制や光熱費の節約など、比較的、効果を実感しやすい改修工事です。
特に、内窓(二重窓)の設置は数時間から半日以程度で工事が完了するケースが多く、比較的導入しやすいといえるでしょう。
住宅省エネ2024キャンペーンはカーボンニュートラルに向けた国策であり、利用しやすくなっています。この機会に省エネ改修を検討してみてはいかがでしょうか?


■この記事のライター
□熊谷皇(くまがいこう)
国立大学法人 鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境工学(温熱環境、省エネ等)。国土交通省 住宅の省エネ基準検討WG委員、日本産業規格JIS A 9521(2017)コンサルタント、建築環境省エネルギー機構(IBEC)・日本建築センター(BCJ)・職業能力開発総合大学校の講師、日本建築ドローン協会(JADA)のWG委員を歴任。

(2024年7月29日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。

おすすめコンテンツ