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カーボンニュートラルとは何? マンション住民が地球温暖化対策でできること
2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」 から、植林、森林管理などによる「吸収量」 を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。
今回は、カーボンニュートラルの実現に向けて、一人ひとりができる省エネへの取り組みをご紹介いたします。
目次
1.地球温暖化で桜が見られなくなる?!
2.カーボンニュートラルで地球温暖化対策を
3.私たち一人ひとりの心がけ・行動が地球を救う
1.地球温暖化で桜が見られなくなる!?
昨今は、夏を迎えるたびに、「子どもの頃よりも暑い日が増えている」、「なんだか夏が長くなっている」そう感じる方も多いのではないでしょうか。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の発表によれば、「地球温暖化には疑う余地がない」と断定(*1)されており、今後、適切な対策を行わなければ、気候変動による影響がより加速すると予測されています。
気象庁が観測したデータによれば、国内では1898年〜2019年の間に100年あたりの平均気温が約1.24℃上昇しています(*2) さらにヒートアイランド現象により、東京では過去100年間の間に約3℃も気温が上昇(*3)しており、都市部では特に暑い日が増えているようです。
地球温暖化の影響は単に「猛暑日が増えるだけ」ではありません。すでに、世界各地の自然生態系や地球環境に深刻な影響が表れ始めています。
近年は海水温上昇によるサンゴの白化現象が各地で確認されており、サンゴ礁は世界的に危機に瀕しています。
このまま地球温暖化を食い止めることができず、2.0℃以上気温が上昇すると、99%のサンゴが消滅し、事実上絶滅してしまうという予測もあります。(*4)
日本では古くから愛されている桜も、地球温暖化の影響により開花時期が年々早まっています。
一昔前は「入学式=桜」というイメージが強かったですが、4月にはもう葉桜ということも増えてきています。
また、桜の開花には厳しい冬によって目を覚まし、春の訪れとともに成長する「休眠打破」と呼ばれる、発芽のスイッチが必要なのですが、近頃は冬季の気温上昇により桜が満開にならない地域も出現しています。(*5)
今後、地球温暖化が進行していけば、日本で桜が咲かなくなる日も来てしまうかもしれないのです。(*5)
2.カーボンニュートラルで地球温暖化対策を
2.1 地球温暖化の原因は私たちの便利な暮らし
地球温暖化の原因は、人間活動によって排出されるCO2をはじめとした温室効果ガスによる温室効果といわれています。
●温室効果とは?
大気中に含まれる二酸化炭素などの温室効果ガスには、海や陸などの地球の表面から地球の外に向かう熱を大気に蓄積し、再び地球の表面に戻す性質(温室効果)があります。大気中の温室効果ガスの濃度が高まることで、温室効果が高まり、地球温暖化の原因となっていると考えられます。
18世紀半ばの産業革命以降、石油や石炭などの化石燃料の使用が増加したことで、大気中のCO2濃度が急激に増加しています。これは家電や水道、自動車の使用など、私たちの暮らしが便利になったことと引き換えに、CO2の排出量が増えてきたということができます。
2.2 カーボンニュートラルの取り組みとは
前述のとおり、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」 から、植林、森林管理などによる「吸収量」 を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。
再生可能エネルギーの導入拡大や省エネ住宅の推進によって温室効果ガス削減を進めつつ、削減が難しい分野のCO2を植林や回収・貯留技術によって吸収し、正味ゼロを目指すという取り組みです。
日本でも2020年に政府が「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と発表したことからカーボンニュートラルが注目されるようになり、2021年の時点で、日本を含めた125カ国・1地域が2050年までにカーボンニュートラルを実現することを表明しています。(*6)
3.私たち一人ひとりの心がけ・行動が地球を救う
それでは、2050年にカーボンニュートラルを実現するために、日常生活の中でどのようなことができるのでしょうか。
まず、家庭で多くのエネルギーを消費している機器には、冷蔵庫や照明、テレビ、給湯器、エアコンなどがあげられます。
出典:資源エネルギー庁
エネルギー消費の多い機器を中心に省エネを心がければ、効果的に省エネが可能です。
家庭で簡単にできて、環境にも家計にも優しい省エネ行動を以下にご紹介します。
▸使っていない照明・テレビのこまめなスイッチをオフにする。
▸冷蔵庫に食品を詰め込みすぎず、設定温度の見直しする。
▸エアコンの設定温度は、夏は28℃、冬は20℃が目安にする。
▸シャワーの流しっぱなしはやめて、入浴間隔も短めにする。
家庭での暖房・冷房の使用を抑えるためには、住宅の断熱性能・遮熱性能の向上も重要です。
断熱リフォームにより、省エネに貢献しながら夏は涼しく、冬は暖かく快適性を高めることができます。国の政策においても建物の断熱リフォームが推進されています。
今回、ご紹介した省エネ行動は、多くの人が取り組まなければ、地球全体の問題であるカーボンニュートラルの実現に近づくことはできません。まずは身近なところから省エネ行動に取り組んでみましょう。
(*1)https://www.env.go.jp/earth/ondanka/stop2008/02-03.pdf
(*2)https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ccj/2020/pdf/cc2020_gaiyo.pdf
(*3)https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/kids/climate/what_heat_island.html
(*4)https://www.iges.or.jp/sites/default/files/inline-files/1-2_Kaimuna_fin.pdf
(*5)https://weathernews.jp/s/topics/202004/100165/
(*6)https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2021/html/1-2-2.html
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■この記事のライター
熊谷 皇
建装工業株式会社 MR業務推進部所属
千葉県出身。鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境(温熱環境性能、住宅の省エネ性評価等)。住宅の省エネ基準検討WGの委員、建築環境省エネルギー機構・日本建築センター・職業能力開発総合大学校等の講習会講師の経験を持つ技術者。ライター。
※建装工業株式会社公式HPはこちら
(2022年8月8日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。