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有酸素運動と組み合わせたい筋トレ! 高齢者こそ室内・器具なしでできる運動を

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近年、マンションでは建物の老朽化と住民の高齢化、いわゆる「2つの老い」の課題が顕在化しつつあります。住民である高齢者にとって特に大切なのは健康維持であり、そのためには適度な運動が必要です。有酸素運動や筋トレがおすすめですが、室内では運動しにくいと思うこともあるでしょう。今回はマンションで手軽に取り入れられる、高齢者向けの室内運動をご紹介します。

目次
1. マンションの2つの老いに備える 高齢者向け筋トレの重要性
2. マンション室内・器具なしでできる高齢者がやりたい筋トレとは?
3. 筋トレがなかなか続かない? 運動を続けるためのポイントや注意点

マンションの2つの老いに備える 高齢者向け筋トレの重要性

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マンションの2つの老いのうち、住民の高齢化に対して何ができるのでしょうか。高齢になると活動量が減り、筋肉や骨が衰えやすくなるため、「ロコモティブシンドローム」「フレイル」「骨粗しょう症」などに備える必要があります。

・ロコモティブシンドローム(ロコモ):歩くことなど移動する能力が衰えた状態
※引用:自分の足で一生歩ける体に。毎日かんたん!ロコモ予防(厚生労働省)
・フレイル:加齢により心身が老い衰えた状態
※参考:食事摂取基準を活用した高齢者のフレイル予防事業(厚生労働省)
・骨粗しょう症:骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気
※引用:e-ヘルスネット(厚生労働省)

多くの高齢者がこうした状態に陥っている、もしくは予備軍であると考えられます。身体能力の低下とともに骨が弱くなると、転倒や骨折の危険性が高まります。ある調査では、65歳以上の高齢者の3人に1人が1年間に1回以上転倒し、そのうち約5%が骨折を経験しているといわれています。
また、2022年の厚生労働省の調査によると要介護や要支援になる原因の3位に「転倒・骨折」が挙げられています。

では、健康的に日々の生活を送るためにどうしたらよいのでしょうか? 簡単にできる方法の1つとして「筋力トレーニング(筋トレ)」があります。筋トレによって筋力・身体能力・骨密度が改善し、高齢者では転倒や骨折の危険性が低くなるとの研究結果もあると厚生労働省は発表しています。
※参考:「筋力トレーニングについて」(厚生労働省)

しかし、マンションでは上下や隣室への騒音が気になり、またスペースを確保しにくいことから室内での運動を避けてしまいがちで、運動不足になりやすいため注意が必要です。

マンション室内・器具なしでできる高齢者がやりたい筋トレとは?

筋トレの重要性を理解しても、実際にどのような運動をすればいいのか悩む方もいるでしょう。運動は「有酸素運動」と「無酸素運動」に大きくわかれ、筋トレは無酸素運動に含まれます。一般的に、健康を維持するには有酸素運動と無酸素運動の両方を行うとよいといわれています。

・有酸素運動
ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳、エアロビクスダンスなど酸素を取りこみながら筋肉を動かす運動です。最近では、室内でできる足ふみマットや足つぼマットを使っての「その場ウォーキング」や「その場ジョギング」も話題になっているようです。

・無酸素運動
短距離走、ウエイトリフティング、筋トレなど、酸素を使わずに短時間で強い力を発揮する運動をいいます。

有酸素運動は負荷が少ないため、高齢者が継続しやすくおすすめの運動です。しかし、筋力の衰えをカバーするため、適度な筋トレも欠かせません。筋トレといっても特別な器具は不要で、家にあるものをうまく使ってマンション室内で行えます。
ここでは、高齢者が無理なく取り組める室内運動をいくつか紹介します。
※痛みがあるときは無理をしないようにし、通院中の方など、心配がある場合は必ず医師に相談してから始めてください。

●イススクワット

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スクワットと聞くと足を鍛えるための運動というイメージがあるかもしれませんが、足の筋力だけでなく体幹の安定性やバランス能力の維持も助けます。

1. イスの後ろに立ち、イスの背に手を添えます
※腰を低くしたときに肘が曲がらない位置に立ちましょう
2. 足を肩幅くらいに広げます
3. お尻を後ろに突き出すイメージで、太ももが床と平行になるまで腰を落とします
4. お尻を戻すように、ゆっくり膝を伸ばします

イスの背に手を添えずに両腕を前に上げた状態で行うと、同じ運動でも負荷が上がります。

●ヒップアップ(お尻上げ)
腹部とお尻、下肢の筋肉を鍛えるための運動で、床で簡単にできます。

1. 仰向けに寝て両膝を立てます
2. 両手は体の横に添えて、手のひらを床につけます
3. 腰だけを反らさないようにお尻をゆっくりと上にあげます
※足裏を床から離さないようにし、お尻は、肩から膝までが一直線になるまで持ち上げます
4. お尻をゆっくりと下ろします

両手を床につけずに胸の前で組めば、腹部とお尻、下肢の筋肉への負荷が上がります。

●座ったまま行う踵上げ
ふくらはぎを鍛えるための運動です。ふくらはぎの筋肉を動かすと足に滞った血液が心臓に戻りやすくなるため、むくみに悩んでいる方にもおすすめです。

1. イスに座って背筋を伸ばします
2. つま先を床につけたまま、両足の踵をゆっくり持ち上げます
3. 上げた踵をゆっくり下ろします

イスの後ろに立ち、イスの背に手を添えた状態で踵上げを行えば、ふくらはぎへの負荷を上げられるだけでなくバランス能力の維持も助けます。

これらの運動を、1セット10〜15回、1日に2〜3セット程度を目安に行うとよいでしょう。

筋トレがなかなか続かない? 運動を続けるためのポイントや注意点

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高齢者は加齢によって筋肉や骨が衰え、身体・認知機能やバランス感覚の低下なども進んでいるケースが多く、運動しない日が続くと筋力が低下しやすくなります。

実際、健康な高齢者が2週間家の中であまり動かずにいると、足の筋肉量が3.7%減少したとの報告もあります。さらにこの筋肉量減少は、約3.7年分の老化に相当するともいわれます。
※参考:「Withコロナ時代に高齢者の健康二次被害をスポーツや社会参加で予防するために」(スポーツ庁)

一般的には週2〜3日の筋トレが推奨されていますが、無理に毎日運動をしようとすると継続できなくなったりケガをする場合もあるため、心身ともに無理をせず、自分のペースで楽しむ程度に行うことが重要です。
また持病がある場合は、医師に運動の可否やどの程度の負荷をかけてよいかを事前に必ず確認しましょう。

さらに、運動時にしっかりと水分補給や休息をとるのはもちろん、日常生活において3食バランスよく食べることも大切です。規則正しい食生活は、運動を続けられる体づくりや筋肉・骨の健康維持をサポートするでしょう。

今すぐ始められる室内運動で身も心も元気に! 今日から早速スタートしてみてはいかがですか。

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■この記事のライター
□吉田 秀樹
建装工業株式会社 MR業務推進部 統括部長
愛知県出身 職能能力開発総合大学校(当時:相模原市)卒業
マンション管理士・一級建築施工管理技士・マンション維持修繕技術者を有し、大規模修繕工事の営業に従事した経験者
※建装工業株式会社公式HPはこちら

(2025年3月24日新規掲載)
*本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。

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