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ムクドリは益鳥? 害鳥? マンションでできるベランダのフン害・鳴き声対策

ムクドリ

街中を大群で飛び回り、街路樹などに集まって一斉に「ギャーギャー」と鳴き声をあげているうるさい鳥、その名はムクドリといいます。鳴き声やフン害に悩まされている人が多くおり、明らかに害鳥……と思いきや、なぜか益鳥という話も聞いたりします。
そこで今回はムクドリにまつわる話に加え、マンションで考えられる被害とその対策についてご紹介します。

目次
1. かつては益鳥といわれたムクドリ しかし今は……
2. ムクドリの特徴
3. マンションでできるムクドリ対策

1. かつては益鳥といわれたムクドリ しかし今は……

ムクドリ

ムクドリは体長24cmほどでスズメよりは大きく鳩よりは小さい、単体で見るとかわいらしい姿をしている野鳥です。東アジア一帯に生息し、日本では九州以北のほぼ全域で見られます。
もともとムクドリは主に農村部を中心に生息し、農薬が発達していなかった時代には、農作物につく害虫をよく食べることから「農林鳥」と呼ばれ、益鳥とされていました。また、以前は、ほぼ農村部にしか生息していなかったため、田園地帯の象徴のようになっていたこともあり、江戸時代には「椋鳥(むくどり)」が田舎者を指す隠語として使われていたようです。
しかし、1960年代からムクドリによる果樹への被害が大きな問題になります。さらに、土地の開発によって本来の生息環境から追われ、都市部にも棲みつくようになりました。その結果、フン害や鳴き声による騒音被害も増加したことで、近年では害鳥として扱われるようになっています。

マンションでのムクドリによる被害の例をみると、ベランダなどへのフン害、鳴き声による騒音、ベランダに巣を作られたことによるダニの発生などがあります。特にムクドリのフン害については、他の鳥のフンと同様、感染症など様々な病気を引き起こす原因になります。そのため、フンは早めに取り除くべきですが、掃除をする際には健康被害を防ぐ対策をしながら行いましょう。詳しくは過去の記事でも紹介しているので参照して頂ければと思います。

ベランダを片付ける! やっかいな鳥のフン対策と掃除方法

2. ムクドリの特徴

ムクドリ

それではムクドリとはどのような鳥か、その特徴と生態などについて説明させていただきます。
ムクドリは全身が黒っぽく、くちばしと足はオレンジ色で、目の周りからほおにかけ白斑があり、腰の一部にも白っぽい模様があります。「ギャーギャー」「キュルキュル」といった、やや甲高い声で鳴きます。樹木や洞穴のほかに建物のすき間などにも巣を作り繁殖しますが、繁殖力は旺盛で短期間で増えていきます。また、繁殖を終えた時期には群を作り、場所によっては数万羽におよぶ大群で空を黒く染めるかのように移動する様子が見られることもあります。ムクドリはそれほど大きな鳥ではなく、一羽だけなら見た目もかわいいのですが、大群での移動となると鳴き声の騒音やフン害をともないます。群れが大きくなるほど被害も大きくなり、こうした生態がムクドリの嫌われる理由となっています。

ムクドリの天敵とされる動物はカラス、さらにフクロウ、鷹といった猛禽類、ヘビなどです。近年、市街地ではカラスが減少傾向にあり、もともとカラス以外の猛禽類も少ないため、ムクドリにとって暮らしやすい環境になってきました。それが都市部でムクドリの数が増加している要因の一つと言われています。

ムクドリが増えている地域のマンションでは、被害を事前に防ぐ対策をしておきたいものです。少なくてもベランダに巣を作らせたくはありません。なぜなら万が一、ベランダに巣を作られた場合、巣のみの状態ならすぐに撤去できますが、卵やヒナがいたら鳥獣保護法により撤去できなくなってしまうからです。また、巣のみであってもダニの大量発生などのリスクがあり、何かとやっかいです。

3. マンションでできるムクドリ対策

巣を作らせないためには、ベランダに余計なものは置かず、定期的にベランダの隅々まで小まめに掃除し、きれいに保つことが基本の対策になります。加えて、他の対策もいくつか紹介します。

・天敵であるカラスなどのカカシ(ダミー)の設置
・忌避剤(鳥の嫌がる薬剤)の設置
・超音波発生装置の設置
・とげマットの設置
・防鳥ネットの設置

※鳥害対策は、下記の記事も参照してください。
ベランダを片付ける! やっかいな鳥のフン対策と掃除方法

※万が一、巣を作られてしまった場合の対策は、下記の記事を参照ください。
鳩のフンは病気の原因に! フン害を防ぐためのベランダ鳩対策

鳴き声の騒音対策としては、カーテンを防音カーテンに交換、給気口へのサイレンサーの設置、窓にインナーサッシ(二重窓)の取り付けなどが考えられます。

マンション敷地内や周辺の街路樹などにムクドリが集まり、被害が出ている場合は、管理組合や管理会社に相談して対策を検討してもらいましょう。地域全体として継続的な取り組みが必要な場合は、自治体にも被害相談を行いましょう。
実際に全国の自治体でムクドリ対策が行われており、街路樹に忌避剤やネットを設置したり、超音波やLEDライトで追い払うなど様々な方法が試されています。

群れで行動し繁殖力も高いムクドリの被害は広い範囲におよびがちです。マンション周辺でムクドリの被害が出始めたら、自宅のベランダ対策だけでなく、早めに管理組合にも相談して、植栽の伐採や専門業者への依頼など、マンションで可能な対策を検討してもらいましょう。

■あわせてお読みください。
・ベランダを片付ける! やっかいな鳥のフン対策と掃除方法
・大量発生するカメムシ。 刺激は厳禁! マンションにおけるカメムシ対策〜駆除と予防〜
・マンションにおける衣類の害虫対策! カツオブシムシが発生する原因と駆除方法


■この記事のライター
熊谷 皇
建装工業株式会社 MR業務推進部所属
千葉県出身。鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境(温熱環境性能、住宅の省エネ性評価等)。住宅の省エネ基準検討WGの委員、建築環境省エネルギー機構・日本建築センター・職業能力開発総合大学校等の講習会講師の経験を持つ技術者。ライター。
※建装工業株式会社公式HPはこちら

(2022年3月28日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合がありますので予めご了承下さい。

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