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マンションの窓に結露が発生したときの対処方法! 高断熱化リフォームや効率的な換気のコツ、お手軽な結露対策グッズなどをご紹介
「“冬の困りごと”といえば窓やドアの結露。」という方は多いのではないでしょうか。空気が乾燥することから、湿度が気になるという方もいるかもしれません。
今回は、結露と湿度の関係や結露を解決するためのリフォームや効率的な換気のコツ、それからお手軽な結露対策グッズなどをご紹介します。
目次
1. 結露は温度差と湿度の関係で起こる
2. 結露が原因で起こる、マンション(建物)と人への問題
3. リフォームや大規模な修繕でのマンション高断熱化と換気促進
4. 結露対策としての湿度コントロールと感染症予防
5. お手軽な結露対策グッズ
結露は温度差と湿度の関係で起こる
空気は、温度が高いほど水分を多く蓄えることができます。空気中に蓄えられる水分量の限界を「飽和水蒸気量」といい、温度が高いほど飽和水蒸気量が多くなります。
下表は気温と飽和水蒸気量の関係です。気温が20℃の場合、空気は17.3g/m³の水分を蓄えることができます。このとき、空気が17.3g/m³の水分を蓄えていれば相対湿度は100%、半分の8.65g/m³の水分を蓄えていれば相対湿度は50%となります。
<気温と飽和水蒸気量の関係>
気温 | ||||
飽和水蒸気量 |
温度差のある空間では、その境界で温度差によって飽和水蒸気量にも差が生じ、空気中に蓄えきれなくなってしまった分の水分量が結露となります。
結露は発生しやすい場所があり、湿気を発生させる行為などにより発生しやすくなります。結露に悩んでいる場合は、該当する項目がないか確認してみましょう。
<結露が発生しやすい場所>
・北側の部屋
・浴室や脱衣所
・台所
・外気と触れている窓や玄関
・家具と壁の隙間
・押し入れ
<湿気を発生させる行為>
・洗濯物の室内干し
・調理(特に鍋物など長時間湯気の出る料理)
・入浴
・ファンヒーターの使用
結露を減らすためには、部屋ごとの温度差や時間帯による温度変化を小さくすることが重要です。
また、冬は乾燥しやすいため、頻繁に加湿している方も多いと思いますが、加湿のしすぎも結露の要因になりますので湿度のコントロールも大切です。例えば、調理時に換気を行う、入浴後はお風呂の蓋を閉めて浴室のドアを閉めるなどです。ちょっとした生活の工夫が結露を防ぐ対策になりますので試してみてください。
結露が原因で起こる、マンション(建物)と人への問題
結露の発生によってどのような悪い影響が起きるのでしょうか。マンション(建物)と人に分けて説明します。
<マンション(建物)への悪影響>
結露による水滴を放置するとクロスや木部にカビが発生したり、金属類の錆を引き起こしたりする原因になります。結露は目に見える場所ではなく、壁の中や天井裏など目に見えない場所に発生することもあります(内部結露)。クロスのカビやシミ、木部の腐朽等、症状がひどい場合は、抜本的にリフォームでの対策をすることをおすすめします。
また、押し入れやクローゼットは空気がこもりがちで、局所的に湿度が高くなりやすく、衣類のカビ発生の原因にもなります。衣類を過度に詰め込みすぎない、乾燥剤を使う、しばらく着ることがない服は乾燥後に圧縮袋にしまうなど、湿気がこもらないように注意してください。
<人の健康への悪影響>
結露によってカビが発生し、そのカビを餌としてダニが増殖し、ダニの死骸を餌としてさらにダニが増える可能性もあります。生きているダニに噛まれて起こる皮膚症状だけでなく、ダニの死骸は細かくなってホコリなどに付着して舞い上がりやすく、そのハウスダストを人が吸い込むことでアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、喘息につながるなどの悪影響もあります。※1
また、カビは飛ばされた胞子が呼吸によって体内に入り込んでアレルギーの原因となりますが、カビの場合はダニと同様にホコリなどに付着して舞い上がるほか、飛ばされた胞子が空気中を浮遊していて吸い込みやすいうえ、生きたまま体内に入るため体内でも増殖するという特徴があります。※2
カビによって引き起こされるものには、喘息やアレルギー性鼻炎のほか、口の中の粘膜がヒリヒリしたり口角の亀裂が起こったりする口腔カンジダ症※3や水虫(足白癬)などがあり、結露は人の健康にとって無視できない影響を与えていると言えるでしょう。
もし結露を見つけたら放置せず、すぐに拭き取る習慣をつけましょう。
※1東京都アレルギー情報navi.(東京都福祉保健局)
※2カビについて(日本アトピー協会)
※3口腔粘膜疾患(口腔外科学会)
リフォームや大規模な修繕でのマンション高断熱化と換気促進
根本的に結露を解決するためには、やはり高断熱化リフォームがおすすめです。
マンションには専有部分と共用部分があります。断熱窓や断熱玄関への交換等、共用部分に関わる高断熱化リフォームは大規模修繕のタイミングで実施することをお勧めします。また、専有部分の高断熱化リフォームも大規模修繕に合わせて実施するとコストや騒音面でもメリットがあります。
<専有部分>
入居者が個人的に行う高断熱化リフォームで手軽に行えるのは内窓の取り付けです。結露対策となるだけでなく、電気代の節約にもつながります。
<共用部分>
大規模修繕の時に共用部分の高断熱化リフォームとして実施したいのは玄関ドアと窓の交換です。一般的に玄関は日照が当たらない側にあり、暖房時間が長いリビングからも離れていて低温になりやすく、結露が発生しやすい場所です。玄関ドアを断熱化することが結露対策に繋がります。
また、窓はガラスやサッシだけではなく二重窓に交換するといった方法もあります。
結露対策としての湿度コントロールと感染症予防
家全体の結露対策としては、部屋間の温度差を小さくすることが大切です。しかし換気が不十分な場合は、生活で発生する水蒸気を排出しないことから結露が発生しやすくなります。
換気は、部屋全体、家全体の対角線上に出入口を設置して、空気の流れを作ると効率的です。
空気の入口となる部分は小さめに、出口となる部分は大きめに窓を開けて、サーキュレーターで空気を攪拌(かくはん)すると、効果的に換気をすることが可能です。ドアや窓の開放時は防犯面に十分注意して換気を行いましょう。
お手軽な結露対策グッズ
高断熱化リフォームは費用も時間もかかるため、なかなか実行するまでのハードルが高い場合も多いと思います。そこで、お手軽な結露対策グッズをご紹介します。
・窓ガラスに貼り付ける断熱シート
空気層を含むシートを窓ガラスの表面に貼り付けることで、断熱効果を高めるものです。結露防止だけでなく、暖房費の削減も期待できます。シートの種類によっては外が見えづらくなったり、部屋の印象を損ねたり、貼り付けが甘い場合は剥がれ落ちたり、カビの原因になることもあるため注意が必要です。
・結露防止スプレー
スプレーを窓やドアに吹き付けることで表面をコーティングし、結露による水滴をガラス面に留めにくくします。
・吸水スポンジ
発生した結露を拭きとるものです。吸水力のあるスポンジはたくさんの結露を一度で処理することができます。デメリットは寝ている間や外出中などに発生する結露には対処ができないことです。他の結露対策と組み合わせて行うのがおすすめです。
冬のお悩みである結露。
換気設備や日常の生活の工夫でも効果はありますので、まずはできることから始めてみましょう。なかなか解決しない場合は、大規模修繕の際に高断熱化リフォームを検討してみてはいかがでしょうか。
■ あわせてお読みください。
・冬のマンションの寝室を快適にするには、湿気対策が大事ってホント?
・喉の痛み、肌荒れ、火の用心! マンションでの乾燥と換気対策
・マンションの部屋をより暖かくするリフォームとは
・マンションのカビ対策! カーテンに潜むカビを撃退しよう
・マンション結露に悩むオーナー必見3つのポイント
■この記事のライター
熊谷 皇
建装工業株式会社 MR業務推進部所属
千葉県出身。鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境(温熱環境性能、住宅の省エネ性評価等)。住宅の省エネ基準検討WGの委員、建築環境省エネルギー機構・日本建築センター・職業能力開発総合大学校等の講習会講師の経験を持つ技術者。ライター。
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(2023年1月30日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。