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あせもが痒い! 気密性の高いマンションでは汗トラブルにご注意を

あせも マンション

近年、地球温暖化の影響から世界中で平均気温が上昇しており、日本でも各地で猛暑日が記録されています。
このようななか、炎天下での発汗量は、10分間のウォーキングで100mlほどになるそうです。人間の身体は汗をかくことで体温調節し、暑さから身体を守ろうとします。しかし、その汗が皮膚トラブルを引き起こす要因となっているのです。そこで、夏の皮膚トラブルの代表的な“あせも”について知っておきましょう。

目次
1. 猛暑で汗だくに! 汗はどうしてかく? 発汗のメカニズム
2. 汗をかいて起こる皮膚トラブル。あせも、汗かぶれ、汗荒れとは?
3. あせもの予防 夏だけじゃない 大人と子どもの汗対策

猛暑で汗だくに! 汗はどうしてかく? 発汗のメカニズム

2024年の夏は「10年に一度の猛暑になる」とさまざまなメディアで伝えられています。
熱中症予防として冷房の使用が推奨されていますが、電気代が気になったり、クーラーの風が苦手という理由から、冷房を控えているといったこともあるかもしれません。
気密性の高いマンションでは夏場は熱がこもりやすく、夜になってもなかなか室温が下がりにくいという特徴があります。冷やしすぎないよう、就寝時にエアコンをつけっぱなしにしないご家庭では、朝方汗をかいて目を覚ます人もいるのではないでしょうか。

汗をかくメカニズムは汗の種類によって異なり、「温熱性発汗」「精神性発汗」「味覚性発汗」の3つがあります。

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●温熱性発汗(いわゆる汗)
手のひら、足の裏をのぞく、身体表面に分布されているエクリン腺から出される汗を指します。気温が高いときや運動した後、発熱時などで出る汗です。上昇した体温を下げるためのもので、汗が蒸発するときに身体の熱が奪われることで体温を下げる働きをします。

●精神性発汗(ストレスで出る汗)
緊張で、手掌や足の裏、わきにのみ出る汗のことです。この発汗は、快適な温度環境でも起こるのが特徴です。近年報告された汗腺として「エクリン汗腺」「アポクリン汗腺」に次ぐ第3汗腺として「アポエクリン汗腺」の存在が明らかになりました。このアポエクリン汗腺は、精神性発汗に関与するのではないかとみられています。

●味覚性発汗
辛いものを食べたときにかく汗です。唐辛子に含まれるカプサイシンという物質が交感神経を刺激して、発汗を促します。

前述した汗の種類は、どれも自分の意思で量を調節することはできません。発汗量の個人差には、エクリン腺のうち機能しているもの(能動汗腺)がどれくらいあるかで決まります。この能動汗腺は、産まれてから2年以内に暑い地域で生活すると増える傾向にあります。

気密性の高いマンションでは「温熱性発汗」の量が多いと考えられます。発汗を正しく対処しないと皮膚トラブルを起こしやすいので、注意が必要です。

汗をかいて起こる皮膚トラブル。あせも、汗かぶれ、汗荒れとは?

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汗をかいて起こる皮膚トラブルはさまざまあり、対処法はそれぞれ異なります。ここでは、「あせも」「汗かぶれ・汗荒れ」の違いについて説明します。

●あせも
汗は汗腺から分泌されてから汗管を通り、体外へ排出されます。汗の出口が埃や汚れで詰まってしまうと皮膚の下で汗が滞り、炎症を起こしてしまいます。1〜3mmほどの赤いポツポツとした発疹が特徴で、高温多湿の環境ででやすいため、注意しましょう。 皮膚が重なり合う乳幼児や肥満の方は、あせもができやすい傾向があります。

●汗かぶれ・汗荒れ
汗をかいたまま放置すると汗の成分のうち水だけが蒸発してしまい、後に残ったナトリウムやアンモニアなどの成分が皮膚に浸透して発生する皮膚炎を指します。汗をかいた部分が赤くかぶれたようになり、ヒリヒリ染みるような痛みが起こるのが特徴です。

「あせも」や「汗かぶれ・汗荒れ」は、どちらもかゆみをともなう発疹や炎症です。そのため、つい手が伸びてしまい掻きむしりたくなりますが、悪化させないよう努めましょう。あせもや汗かぶれ・汗あれは人から人へと移ることはありませんが、掻きこわして「とびひ(伝染性膿痂疹)」や「あせものより(多発性汗腺膿瘍)」になると、抗菌薬での治療が必要になります。

あせもができてしまったら、掻かないようにしましょう。身体を温めるなど、血流の上昇がかゆみを増幅させます。対症方法としては氷のうや氷枕で冷やす、ぬるめのシャワーを浴びるなど、温暖刺激を避けることを心がけましょう。

また、皮膚を清潔に保つのも、悪化の予防につながります。かゆみが強い場合には、炎症を抑える外用薬を処方してもらうのもよいでしょう。ベビーパウダーなどで湿潤環境を回避しようと試みる方がいますが、ベビーパウダーの粒子が汗の出口を物理的に塞いでしまうので、かえって悪化するため使用は控えましょう。

あせもの予防 夏だけじゃない 大人と子どもの汗対策

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あせもは暑い夏に多いイメージがありますが、実は夏に限定された季節性疾患ではありません。「夏のあせも」「冬のあせも」、それぞれの予防方法についてみていきましょう。

●夏のあせも予防
夏のあせもの原因は、やはり「大量に汗をかく」ことです。まず汗を拭き取り清潔に保つことが大切です。汗を拭いたハンカチや寝具などをこまめに清潔にするよう心がけましょう。
また、通気性のよい衣類を着用することも効果的です。夏は湿度が高いので保湿ケアは無縁と考えてしまいがちですが、実は紫外線のダメージなどで皮膚のうろこ(鱗屑)が乱れてしまうこともあります。皮膚のバリア機能を保つためには、保湿は不可欠です。ミストタイプやフォームタイプなど夏向けの商品もあるので、活用していきましょう。

●冬のあせも予防
冬は汗を作られる量が少ないのに、なぜ冬のあせもに注意が必要なのでしょうか。実は、冬は水分摂取量が減るため、濃度の高い汗をかくようになります。また、厚着や暖房で蒸れやすく、油分の高いボディクリームなどで皮膚にフタをしてしまうなど、物理的に汗の逃げ場がなくなりあせもができてしまうことがあります。
特に、乾燥が気になる冬では、加湿器を使用する機会が増えます。湿度が高すぎると通気性が悪く、汗がこもる原因にもなります。適切な温度や湿度を意識しましょう。

暑い夏に起こりやすい、身近な皮膚トラブルである「あせも」。マンションの室内は構造上、外気温の影響を受けにくく冷房なども効きやすいですが、気密性が高く熱がこもる特徴もあります。
あせもの1番の予防法は、なんといっても快適な環境で汗をかかないことです。そして、できてしまったあせもは悪化させないよう適切な対処をしましょう。
暑さ対策をしっかりと行い、夏を乗り切りましょう。

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■この記事のライター
□吉田 秀樹
建装工業株式会社 MR業務推進部 統括部長
愛知県出身 職能能力開発総合大学校(当時:相模原市)卒業
マンション管理士・一級建築施工管理技士・マンション維持修繕技術者を有し、大規模修繕工事の営業に従事した経験者

(2024年8月26日新規掲載)
*本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。

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