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流行中の新型コロナウイルス「KP.3」とは? マンションでも感染拡大を予防しましょう!

新型コロナウイルス感染症 マンション 対策

2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行してから、はや1年が過ぎ、徐々にマスク姿を着用している人が減りました。しかし、2024年のこの夏は再び感染が拡大傾向となっています。今回の感染の増加は第11波とされ、2024年6月頃から始まり、感染者数のいちばん多かった第9波に匹敵する勢いで、今なお感染拡大が続いています。これは変異株「KP.3」の感染力が高いことが起因していると言われています。それでは「KP.3」の感染力や症状は、どのようなものなのでしょうか。マンションで行う対策についても、紹介します。

目次
1. 現在の感染者の約8割がアメリカで少し前に流行った変異株「KP.3」
2. 急増する新型コロナ 変異株「KP.3」はワクチンが効きにくい?
3. マンションでの感染は共用部に注意!対策の基本はこれまでと同じ

現在の感染者の約8割がアメリカで少し前に流行った変異株「KP.3」

2020年1月に国内で最初の新型コロナウイルス感染者が確認されて以来、感染者数は波のように増減を繰り返してきました。現在、新型コロナウイルス感染症の感染者数は毎週連続して増加しており、第11波の到来として再流行の注意喚起がなされています。
新型コロナウイルス感染症が第5類感染症に移行したことで、感染者数の観測も変更されました。以前は感染者数を全数把握していましたが、現在は選定された協力医療機関から報告される定点観測により、地域の発生状況や流行状況を把握しています。

それでは、現在の流行はどのような状況なのでしょうか。
「新型コロナウイルス感染症 定点当たり報告数(全国)」によると、2024年6月初旬は19,719人でしたが、その後急増し、7月中旬時点には55,072人(入院患者数3,081人)に達しました。さらに、7月下旬時点のデータでは72,003人(入院患者数4,579人)となっており、なかなかピークアウトせず増え続けています。

特に重症患者や入院患者の多くは60歳以上の高齢者であり、2024年7月末の報告では、入院患者の8割以上が高齢者であることがわかっています。

この夏、再び感染拡大している理由の一つとして、新たな「変異株」の影響が挙げられます。
新型コロナウイルス感染症は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が人体に侵入して増殖することで発症しますが、その増殖の過程で「RNA」と呼ばれる物質の配列にミス(変異)が起こることがあります。この変異が感染力の強いものだと、新たな変異株として感染が広がります。新型コロナウイルスは変異しやすいといわれており、これまでにさまざまな変異株が流行してきました。

現在国内で流行しているのは、少し前にアメリカで流行していた「KP.3」という変異株です。7月中旬時点で、新型コロナウイルス感染症の約8割が「KP.3」であるといわれています。

急増する新型コロナ 変異株「KP.3」はワクチンが効きにくい?

第11波として急増している変異株「KP.3」は、どのような特徴を持っているのでしょうか。この変異株は、2022年に流行し始めたオミクロン株の派生株です。「KP.3」は感染力が強く、重症化することは少ないですが、高齢者や基礎疾患のある人、乳幼児には注意が必要です。特に、糖尿病や肥満体型の人は、酸素投与が必要な肺炎を引き起こすリスクが高まります。

自覚症状としては発熱や倦怠感が挙げられますが、これらは熱中症の症状に似ていることから、発見が遅れることもあります。
従来の株と同様に、発熱後に喉の痛みがあらわれます。その他にも、主に下痢などの消化器症状が多く、味覚障害が少ないのが特徴です。

「KP.3」の恐ろしい特性の一つにワクチン効果から逃れる性質があります。つまり、ワクチンが効きにくいのです。特に重症化リスクのある人は、発症後に急激に症状が悪化する可能性があるので注意が必要です。また、発症から2か月以上経過しても症状が改善されない場合は、後遺症の可能性もあるので医療機関に相談しましょう。

現在、日本では咳止めや解熱鎮痛薬など、一部の薬剤が不足していることが社会問題となっています。この背景には、2020年のジェネリック医薬品メーカーの品質不正問題の影響で供給が不安定になったことなどが挙げられます。このため、このまま感染者数が増加し続ければ、新型コロナウイルス感染症にかかっても、対症療法が十分にできない可能性もあります。自分を守るためにも、しっかりと感染予防を心がけましょう。

マンションでの感染は共用部に注意!対策の基本はこれまでと同じ

マンションでは、気付かないうちに感染が拡大しやすいという特徴があります。これはマンションの気密性が高く、複数の世帯が同じ建物で生活しているため、エレベーターのボタンやゴミ置き場の扉、手すりなどの共用部分から感染が広がる可能性があるからです。

5類感染症へ移行した後、マスクを着用しない人も増えました。また、酷暑でマスクをしていると呼吸が苦しいと感じる方もいます。外出時などでマスクを着けない人が咳やくしゃみをする際に、飛沫が飛ばないようとっさに手で口を覆うことがありますが、その手でエレベーターのボタンに触れると、他の住民にウイルスが付着するおそれもあります。

新型コロナウイルス感染症 マンション 対策

夏の感染予防対策は、基本的にこれまでの対策と同じです。手洗い、マスク、咳エチケット、手指消毒などの徹底や、サーキュレーターを使って空気の通り道を作ることが大切です。気密性の高いマンションでは、クーラーを使用する際にエアコンから離れた場所にある換気扇(トイレ・浴室・キッチンなど)を回して室内の空気を換気することも効果的です。

また、管理組合は感染拡大の状況や正しいマスクの装着方法、正しい咳エチケットの動作など、住民に向けたポスターを作成し周知することが大切です。

新型コロナウイルス感染症 マンション 対策

新型コロナウイルスの流行は、変異を繰り返しながら今後も続くとみられています。緊急事態宣言が発令された頃と比較すると、旅行や外食が緩和されました。しかし、新型コロナウイルスは依然として人類の健康や命をおびやかすものであると認識しなければなりません。特に、幅広い世代が同じ敷地内で生活するマンションでは、住民も管理会社もそれぞれの対策を行い、引き続き、感染拡大を予防していきましょう。

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■この記事のライター
□熊谷皇(くまがいこう)
国立大学法人 鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境工学(温熱環境、省エネ等)。国土交通省 住宅の省エネ基準検討WG委員、日本産業規格JIS A 9521(2017)コンサルタント、建築環境省エネルギー機構(IBEC)・日本建築センター(BCJ)・職業能力開発総合大学校の講師、日本建築ドローン協会(JADA)のWG委員を歴任。

(2024年9月2日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。

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